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世界的GKを破る サッカー日本、ワンタッチシュートを

サッカージャーナリスト 大住良之

大陸間プレーオフでコスタリカがニュージーランドに勝ち、2022年ワールドカップ(W杯)カタール大会出場の全32チームがそろった。日本は1次リーグE組でドイツ、コスタリカ、スペインの順で対戦する。それは、マヌエル・ノイアー(ドイツ)、ケイロル・ナバス(コスタリカ)、そしてウナイ・シモン(スペイン)という3人の世界的なゴールキーパー(GK)が守る鉄壁をいかにこじ開けるかという戦いでもある。

193センチとは思えない反射神経と敏しょう性

ノイアーは2010年代の半ばから広く「世界最高のGK」と認められ、現在もバイエルン・ミュンヘンとドイツ代表の双方でキャプテンを務めている。1986年3月27日生まれの36歳。W杯出場は10年大会から4大会連続で、出場試合数は3大会計16にもなる。14年ブラジル大会優勝の立役者のひとりで、決勝戦まで7試合でわずか4失点だった。

193センチという長身ながら、素晴らしい反射神経と敏しょう性を持ち、決定的なピンチも足先でシュートをはじき出すなど、毎試合のように奇跡的なセーブを見せている。守備陣を突破してシュートを放つのも大変だが、シュートを打ってもノイアーが立ちふさがることで、ゴールを陥れるのは至難の業となる。

ナバスは1986年12月15日生まれの35歳。20代の半ばから欧州のクラブで活躍、14年W杯では超人的な活躍でチームをベスト8に導いた。このとき、W杯優勝国ばかりの組だったが、ウルグアイに3-1、イタリアに1-0、イングランドに0-0と2勝1分けの首位で突破。決勝トーナメント1回戦ではギリシャ(日本と同組)に1-1からPK戦5-3で勝ち、準々決勝はオランダに0-0からPK戦3-4で敗れたものの、旋風を巻き起こした。ナバスはイングランド戦から3試合連続で「マン・オブ・ザ・マッチ」に選ばれた。

身長は184センチと、現代のGKとしては「並み以下」だが、素晴らしい反射神経とアクロバチックなセーブを得意とする。プレーオフのニュージーランド戦では、相手のシュートがゴールの枠をとらえることが少なかったためそう大きな見せ場はなかったが、75分すぎに25メートルから放たれた相手のシュートがコスタリカゴールの左上を襲ったときには中央のポジションから的確に数歩動いてセーブ、技術の確かさを示した。

14年W杯後、レアル・マドリード(スペイン)、パリ・サンジェルマン(フランス)と欧州のビッグクラブで活躍を続けてきたナバスは、コスタリカの精神的な支柱でもある。

スペインGKは東京五輪も出場

スペインのゴールを守るウナイ・シモンは、1997年6月11日生まれの25歳と、3人のなかでは最も若い。しかし21年夏の欧州選手権と東京五輪はともにスペインの全6試合に出場、新しい時代のGKとして注目された。欧州選手権の準々決勝スイス戦では、1-1で迎えたPK戦でシュートを2回にわたってストップ、準決勝進出に貢献している。

所属はアスレチック・ビルバオ。バスク地方の出身である。スペイン代表では数多くのバスク出身GKが活躍してきた。1970年代のイリバル、1980年代のアルコナーダ、1990年代のスビサレッタなどがその代表だが、シモンは後継者と呼ぶにふさわしい。

東京五輪準決勝で日本と対戦、120分間日本に得点を与えず、決勝進出に貢献した。ただ五輪直前の7月に行った親善試合では、前半終了間際に左を突破した久保建英のパスに走り込んだ堂安律が左足で合わせ、ワンタッチでゴール左上隅に送り込んだシュートでこのシモンの守るゴールを破っている。

森保一監督率いる日本代表は6月に4つの国際試合を行ったが、攻撃面で課題があるのは誰の目にも明らかだった。勝ったパラグアイ戦、ガーナ戦は、ともに相手の状態が悪く、あまり参考にはならない。コンディションがまずまずの相手、ブラジルとチュニジアからは、得点を挙げられなかっただけでなく、有効な攻撃の形をつくることができなかった。

サイド攻撃が伊東純也や三笘薫らの個人技頼りとなり、組織的な攻撃ができなった。セットプレーからもなかなかチャンスをつくれなかった。攻撃不振には様々な要因が見られたが、仮に突破の形ができても、日本のシュートを世界有数のGKたちが待ち構えていることを考えると、W杯で勝利をつかむために得点を挙げるという課題はさらに困難になる。

最後は個人の決める力

シュートを打つ形をつくるのは、チームとしての課題だ。W杯までの残り時間を考えると大変だが、森保監督を中心に取り組むしかない。しかしシュートを決めきるかどうかは、多分に個々の選手の課題である。ノイアーやナバスの能力を考えれば、ワンストップしてからのシュート、ドリブルからシュートではコースを読まれ、鉄壁を破るのは難しい。

得点機があるとしたら、ワンタッチシュートだ。堂安がシモンから奪った1点も、ワンタッチで相手に準備する時間を与えなかったため生まれた。W杯に向け、さまざまなパスからのワンタッチシュートの精度を上げることが、日本代表の前線の選手たちの最大の課題といえるだろう。

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