侍J、米国と「史上最強打線」決戦へ WBC決勝始まる

野球の国・地域別対抗戦、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝が21日(日本時間22日)、始まった。3大会ぶり3度目の優勝を目指す日本の相手は2連覇を狙う米国で、WBC決勝では初めて顔を合わせる。ともに多くの強打者が並び「史上最強」とうたわれる打線による激しい戦いが繰り広げられそうだ。
日本は1次リーグで安打を量産した選手が好調を維持している。吉田正尚(レッドソックス)は20日のメキシコとの準決勝で3ランを含む3安打を放ち、今大会の打率は4割7分4厘。1大会の最多記録を更新する13打点を挙げている。大谷翔平(エンゼルス)は全6試合で安打を放ち、4割5分をマーク。2番の近藤健介(ソフトバンク)も3割9分1厘を打ち、3番大谷、4番吉田へのつなぎ役を十分に果たしている。

プレーでもムードづくりでもけん引役を務めてきた1番ラーズ・ヌートバー(カージナルス)が準々決勝で5打数1安打、準決勝は無安打と当たりが止まりつつあるのは気がかりだが、不振だった5番村上宗隆(ヤクルト)が準決勝で逆転サヨナラ打を放ったのは大きい。これをきっかけに昨季の三冠王が本来の姿を取り戻し、近藤、大谷、吉田という今の日本の核の一員に加われば、より打線の厚みが増す。
日本にも増して顔ぶれが豪華なのが米国の打撃陣だ。1番ベッツ(ドジャース)、2番トラウト(エンゼルス)、3番ゴールドシュミット(カージナルス)はいずれも最優秀選手の受賞経験者。4番アレナド(カージナルス)は本塁打王3度、5番シュワバー(フィリーズ)は昨季46本塁打でタイトルを獲得した。
この強力打線で今、最も乗っているのがターナー(フィリーズ)だろう。ベネズエラとの準々決勝では逆転満塁本塁打を放ってチームを敗退の危機から救い、準決勝のキューバ戦も2本塁打を含む3安打4打点。2021年首位打者のターナーが9番、昨季40本塁打、131打点のアロンソ(メッツ)が7番に座る今回の米国に、下位打線という概念はない。

1次リーグはメキシコに敗れ、コロンビアに3-2で辛勝と苦戦もあったが、準決勝でキューバを打ち負かしたことで気分良く決勝を迎えることになりそうだ。
その強力打線に先発として対峙するのは今永昇太(DeNA)。1次リーグで先発を担った大谷とダルビッシュ有(パドレス)が準々決勝、佐々木朗希(ロッテ)と山本由伸(オリックス)が準決勝に投げたことで、救援で登板してきた今永に大役が巡ってきた。

今大会は1次リーグの韓国戦で3回1失点、イタリアとの準々決勝は1回無失点。米国の1〜4番はいずれも右打者で、左腕から繰り出す150キロ超の直球を内角、チェンジアップを外角にきっちり制球したいところだ。
序盤に主導権を握られると苦しくなるだけに、立ち上がりから飛ばすだろう。短いイニングで力尽きたとしても、日本は充実の救援陣が控える。09年の第2回大会で抑えとしてチームを連覇に導いたダルビッシュが再び優勝決定試合で投げるのか。救援登板の意欲を示す大谷が三たび投打二刀流でチームを勢いづけるのか。総力をあげての大一番になる。
(合六謙二)
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