村上宗隆、苦悩振り払う逆転サヨナラ打 侍J決勝進出

外角高めの速球を捉えた鋭い打球が中堅フェンスに当たる。1点を追った最終回の日本。無死一、二塁から5番村上の一打に2人がかえった。チームを14年ぶりの決勝に導いたのは23歳のバットだった。
日本人史上最多の56本塁打を放った昨季、史上最年少の三冠王に輝いた。大きな期待を背負い、4番としてスタートした今大会だったが、調子が上がらず5番に降格。この日も1打席目から走者をおいて3打席連続三振ともがいていた。
「何度も三振をして悔しい思いをした。その中でもチームメートが点を取って助けてくれた。期待に応えられて良かった」。安堵と興奮を交錯させ、村上は殊勲の一打を振り返る。
逆転サヨナラ劇の口火を切ったのは大谷だ。先頭で打席に立った九回、初球を右中間にはじき返すと、ヘルメットを脱ぎ捨てて二塁まで激走。ベンチに向かって雄たけびを上げた。準々決勝から村上に代わって4番に座る吉田は七回の同点3ランに続き、九回は四球で歩きサヨナラ機をお膳立て。八回の守りでは追加点を阻止する左翼からのバックホームも光った。

1次リーグで米国、準々決勝でプエルトリコと強豪を破って勢いづくメキシコをうっちゃり、大谷も高揚感を隠せない。「チーム全体で何回か折れかけたが、最後まで諦めない気持ちがああいう形になった。(米国との頂上決戦は)最高の舞台で最高の相手。必ず勝つという気持ちで頑張りたい」

2大会連続ではね返された準決勝の壁を破り、3大会ぶり3度目の頂点まであと1勝。野球の母国で歓喜のフィナーレを飾れるか。
(吉野浩一郎)
【関連記事】

日本代表「侍ジャパン」が3大会ぶり3度目の優勝。大リーガー・大谷翔平や日本代表では初の日系人選手となるラーズ・ヌートバー、メジャーに挑戦する吉田正尚らが活躍。世界一を14年ぶりに奪還した選手たちの最新ニュースをお伝えします。