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ウエスカと日本をつなぐ サッカー発展へ環境整備

今季限りで退団したウエスカのあるアラゴン州は、フランスとの国境に近いスペイン北東部の内陸にある。ピレネー山脈をはじめとする山々に囲まれた、自然豊かな場所だ。

そんなウエスカや州都サラゴサを、子供たちはまだ学校があるので、一人で観光することがある。山間の村に足を運んだり、ハイキングや歴史的な建造物を訪ねたり……。欧州に10年も暮らしながら、これまであまり体験することのなかった時間が楽しい。

ドイツ、英国、スペインで暮らし、欧州の人々の日常の営み、文化や歴史などを体感する機会は多かった。選手としてだけでなく、人としてもさまざまな刺激を受け、自分の思考の幅を広げてくれたと感じている。

そういう体験を日本の子供たちにもという思いが、ウエスカとの新しいプロジェクトにつながった。「シンジ・オカザキ―SDウエスカ・アカデミー」の設立だ。僕の母校、兵庫・滝川第二高の仲間たちと運営する「バサラ兵庫」というクラブがあり、そこを拠点に日本とウエスカの架け橋になるアカデミーをつくろうと考えている。日本とウエスカを互いに行き来する交流の中から、子供たちが自分の可能性や選択肢を広げてくれたらと願ってのことだ。

ウエスカ市は人口5万人あまり。そんな小さな町のクラブがスペイン1部リーグに昇格したという歴史も興味深い。バサラ兵庫も今はスクールとU-15(15歳以下)チームでの活動だが、将来的には各世代のチームやトップチームを保有する構想がある。学ぶべきことはたくさんある。

実は過去に所属したドイツのマインツでも2014年に「バサラ・マインツ」というクラブをつくった。11部からスタートし今は6部で戦っている。このクラブを足掛かりに、上のリーグへ挑戦する日本人選手を輩出することもできている。

バサラ兵庫は神戸市西区に練習拠点の建設も進めている。欧州の最新技術を活用した、SDGs(持続可能な開発目標)に配慮したエコなグラウンドをつくり、プレーヤーだけでなく、老若男女が気兼ねなく集える場所になればと思うのは、欧州でそういう光景をたくさん目にしてきたからだ。

日本サッカーの発展には選手や指導者の養成と同じくらい環境整備が重要。同志とつくるアカデミーを通して、子供たちが自分で考え、自分で決断し行動することの大切さを知る機会を得てくれたらうれしい。

僕は選手として欧州でやるべきことがまだまだある。同時に自分が体感したものを日本へ還元したいという願いも尽きない。幸い、そんな僕の考えに共感し、奮闘してくれる仲間がいる。だから、僕はサッカーに集中できる。

(前ウエスカ所属)

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