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強化も防疫対策も 日本代表戦は東京五輪への試金石

サッカージャーナリスト 大住良之

日本代表が久びさに日本のピッチに戻ってくる。3月25日の親善試合韓国戦(横浜)、そして30日の2022年ワールドカップ(W杯)カタール大会予選モンゴル戦(千葉)。さらに日本サッカー協会(JFA)は、今夏の五輪に臨むU-24(24歳以下)日本代表チームとなでしこジャパンの国内での親善試合実施も発表した。男子のU-24は26日(東京)と29日(北九州)でアルゼンチンU-24代表と対戦、なでしこジャパンは4月8日にパラグアイ戦(仙台)、11日にはパナマ戦(東京)を行う。

代表メンバーを発表するする日本代表の森保監督=日本サッカー協会提供

フル代表同士としては10年ぶりの日韓戦は本当に楽しみだ。ライバル意識をむき出しにした激しい戦いが予想され、日本代表にとっては9月にスタートするW杯アジア最終予選への重要なステップとなるだろう。今回の一連の国際試合にはそれ以上の意味がある。

ようやく首都圏4都県の緊急事態宣言は3月21日で解除されるが、Jリーグはとっくに開幕しているのに、新しく契約した外国籍の選手や監督が政府の「水際対策」の方針によって入国できていない。そんな中、「入国制限」の対象国であるアルゼンチン、パラグアイ、パナマからチームを招くのだから。

「海外組」と「国内組」は別フロア

3月18日の森保一監督による日本代表メンバー発表に先立ち、JFAの須原清貴専務理事が記者会見をオンラインで開き、今回の国際試合における感染対策を説明した。試合実施についてはスポーツ庁と話し合い、「JFAの責任下」で「厳格」な防疫対策をとることで入国を可能にし、日本代表の「海外組」も含め「待機期間」を免除されたという。

日本代表や来日する各国の代表チームは、外部から完全に隔離された「バブル」の状態におかれる。フロアを貸し切りにしたホテル、練習場、試合会場を往復するだけで、それ以外の外出は認めない。日本代表は「海外組」と「国内組」でホテルのフロア、マッサージルーム、食事部屋、移動のバスなどを分け、ミーティングだけは1つの部屋で席を離して行うという。もちろん来日前のPCR検査、空港での抗原検査は必須で、来日後も連日検査を行う。こうした対策は、レフェリーにも適用される。

3月の4試合の結果をみて、4月のなでしこジャパンの防疫対策を見直していきたいと、須原専務理事は語っている。

ヘタフェの久保建(左)は今回U-24メンバーとして戦う=共同

日本代表とU-24の国際試合は東京五輪への「試金石」と言える。考えうる万全の対策をとって競技を実施し、五輪の防疫対策のひな型をつくろうというのだ。7月の五輪だけでなく、9月からのW杯アジア最終予選を控えるJFAは、強化のための試合をなんとか実施したい。五輪をホストする国としても、安全な大会実施が可能である証明がほしい。両者の利益が合致して実現したのが、3月の4試合である。

残念ながら今回の日本代表は「フルメンバー」とは言えない。「欧州組」でもフランスのマルセイユでプレーする長友佑都と酒井宏樹、ドイツのハノーファーでプレーする原口元気などはコロナ禍の状況で招集できなかった。五輪まで4カ月を切ったので、U-24世代も原則として日本代表から外したからだ。

ボローニャの冨安(左)は五輪世代ながら、フル代表でもレギュラー=共同

20年10、11月の活動に参加した板倉滉(フローニンゲン)、菅原由勢(アルクマール)、中山雄太(ズヴォレ)、三好康児(アントワープ)、堂安律(ビーレフェルト)、久保建英(ヘタフェ)らは、今回はU-24代表でプレーする。現在Jリーグで最も輝いている三笘薫、田中碧(ともに川崎)らも、五輪に向けてのチームづくりに加わる。

8人もの選手が日本代表初選出

唯一の例外が冨安健洋(ボローニャ)だ。1998年生まれの22歳、五輪世代だが、日本代表でも完全なレギュラーであるため、日本代表でプレーすることになった。森保監督は「(U-24日本代表のDFたちとは)U-20代表などでずっとやってきたので(五輪直前にチームに加わっても)コンビネーションの懸念はない」と話している。

代表初選出メンバーの一人、川崎・山根(中央)=共同

こうした選手たちに代わり、今回8人もの「日本代表初選出」がいる。GK前川黛也(神戸)、DF山根視来(川崎)、DF中谷進之介(名古屋)、DF小川諒也(FC東京)、MF江坂任(柏)、MF原川力(C大阪)、MF川辺駿(広島)、MF坂元達裕(C大阪)。さらに、GK西川周作(浦和)とDF松原健(横浜M)の2人は、森保監督就任後初の招集となった。

このなかで注目したいのはDF山根とMF坂元だ。山根は攻撃力をもった右サイドバック。このポジションは今回参加できない酒井宏樹が盤石と思われているが、内側にはいったりシュートを放つなど、攻撃の多彩さにおいては山根のほうが上回る。坂元は左利きの右ウイングで、ドリブルテクニックとともに強烈なシュート力も持つ。

韓国戦の先発を予想すると、GK権田修一(清水)、DFは右から山根、冨安、吉田麻也(サンプドリア)、小川、MFはブンデスリーガで高い評価を得ている遠藤航(シュツットガルト)と守田英正(サンタクララ)をボランチに置き、右にベルギーリーグで絶好調の伊東純也(ゲンク)、トップ下に鎌田大地(フランクフルト)、左に南野拓実(サウサンプトン)、そしてワントップに大迫勇也(ブレーメン)といった形になるのではないか。

韓国代表メンバーには、プレミアリーグで活躍する孫興民の名前も=ロイター

今回の韓国代表には、プレミアリーグでスターになっている孫興民(ソン・フンミン、トットナム)の名前もある。非常に厳しい状況のなか、「バブル」から唯一解き放たれるピッチで、日韓両国の熱戦に期待したい。

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