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ゴルフ界、宣言解除でV字回復加速 第3次ブームも

ゴルフジャーナリスト 地平達郎

9月30日で緊急事態宣言などが解除されて約3週間。感染者数は減少を続け、長い長いトンネルをやっと抜けたかのように生活が元に戻りつつある。スポーツイベント開催も復活し、収容観客数も上限が徐々に引き上げられ、声を出して応援できる日が来るのも遠くない。

長いコロナ禍の中でも、ゴルフの回復がいちばん早かった。野外なので「密閉」はない。キャディーがいても最大5人なので「密集」もなく、アマチュアゴルフはボールがあちこちに散らばるから「密接」のしようもない。3密を避けられるとあって、ゴルフ場や練習場は客足の戻るのが早かった。

スポーツ、特にゴルフの「優等生」ぶりは数字でもはっきり表れている。総務省が10月8日に発表した8月の1世帯当たりの消費支出は26万6638円で、物価変動を除く実質で前年同月比3.0%減と、緊急事態宣言の影響もあって消費は鈍った。さらに、コロナ感染拡大前の2019年8月に比べるとマイナス9.5%とコロナダメージの大きさがわかる。

このように個人や企業が苦しむ中でもいい数字を出しているのがスポーツ用品業界、さらにはゴルフ用品業界だ。前記より少し前の数字になるが、大手総合スポーツ用品メーカーA社が8月に発表した2021年12月期第2四半期連結決算によると、売上高は前年同期比約43%増、営業利益は前年同期の赤字から一転して200億円を超す黒字に急回復している。

ゴルフを含むスポーツ用品やタイヤなどを製造するB社の同時期の決算でも売上収益が前年同期比29.4%と伸びた。なかでもスポーツ事業の売上収益は前年同期比72.4%増という好数字をたたき出したが、特にゴルフ関連の売り上げ増がけん引し、V字回復を果たしたという。

さらに、ゴルフ用品専門店も展開するスポーツ用品販売チェーンのC社が出した同時期の業績では、売上高が前年同期比7.0%増、経常利益では193.1%増という驚異的な数字となっている。ここでもゴルフ用品の売り上げが急増した。特にコロナ禍を機に若年ゴルファーが増えていることから、初心者をターゲットにした応援販売キャンペーンを進めているほどだ。

これらの数字の原動力となっているのは、ゴルフをする人、ゴルフを始めようとする人が確実に増えているからである。コロナ禍の影響で、会社に行かなくてもいいテレワーク、リモートワークや、個人専用のデスクを廃止するフリーアドレスの採用など、オフィス環境は激変し、個人裁量で自由になる日や時間が増えた。

余った時間の有効活用に、感染リスクの小さいゴルフが選ばれたということだろう。ゴルフ練習場では、明らかに初心者と思われる若い人たちや、父親が息子や娘に手ほどきをする親子連れなどが目立つ。

インターネットのゴルフ場予約サイトにも変化が表れている。かつては3~4人組での受け付けがほとんどだったが、今や、昼食なしで回る18ホールスループレーや9ホールのハーフプレー、2人組の2サム、さらには会員制ゴルフ場並みに1人予約もOKと、ゴルフ場と組んで時代に即した、明らかに若年層を狙ったと思われるプレースタイルを前面に押し出している。

折から女子プロゴルフで渋野日向子が約2年ぶりに優勝するなど、「黄金世代」と呼ばれる華のある選手たちの台頭で、若い人たちの間でゴルフに対する関心がさらに高まってきた。

1957年のカナダカップ(現ワールドカップ)で日本が優勝して巻き起こった第1次、AONが活躍した70年代からの第2次のゴルフブームが去ったあと、長らく冬の時代が続いたゴルフ界。宣言解除でV字回復が加速し、「第3次ブーム」が訪れるかもしれない。

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