17歳のNHLドラフト候補 アイスホッケー安藤優作㊤

アイスホッケーの世界最高峰リーグ、北米プロのNHLへのエリートコースのど真ん中を歩む高校生がいる。北海道苫小牧市出身の17歳、安藤優作だ。本場の有望株が集う米国のジュニアリーグ、USHLに挑み2季目。「今年の目標はNHLのドラフトで指名されること」ときっぱり言う。
173㌢、69㌔は所属のヤングズタウン・ファントムズで最も小さい。そんなFWが昨季、16歳から20歳が対象のUSHLで主力級の数字を残した。日本流に例えるなら大学2年生もいる中で最年少の高校1年生が躍動した。25ポイント(8得点17アシスト、出場40試合)は2003年生まれに限ればリーグ3位の成績だった。
「最初は相手の体の大きさや強さにびっくりした」。そう話す安藤の最大の魅力は、味方がほしい瞬間に、ほしい場所へとパックを届けるパスセンスだ。「相手がどこにいるかしっかり見ている。1秒ずれたら敵は来る」。パックを高速で自由自在に操る技術は努力して身につく代物ではない。だから本場の目利きも熱い視線を送る。

「君に話があるという人が来たぞ」。昨季の試合後、監督から何度も呼ばれた。いずれも全米大学体育協会(NCAA)所属校からのスカウトで特待生の誘いだった。20年春、10校以上の中から「トップクラスの強豪だから」とミネソタ州立大マンケート校を選んだ。日本にいたら高校3年生のはずの今年秋、最年少選手の一人として大学デビューの予定だ。
昨秋、NHLが発表したドラフト候補リストに安藤も名を連ねた。7月にある今年のドラフトの主な対象は02年9月16日から03年9月15日に生まれた者で、9月3日生まれの安藤も含まれる。一握りのスター選手を除けば、指名されてもNCAAを経由してNHL入りするのが米国のエリートコース。安藤も同じ道を志す。
20年のドラフトで出身選手が51人も指名されたUSHLのレベルは高い。昨年11月に開幕した今季、安藤はやや出遅れた。新型コロナウイルスに感染して2週間ほど離脱したことも響き、初ゴールは今年1月23日と遅かった。チームが23試合を消化した時点で9ポイント(2得点7アシスト、出場20試合)にとどまる。
インターネットで試合を見守る両親も気をもむ。母親の明恵は「去年、指名されなかったチームメートがいて。そういうのを見たからかな」。安藤も正直に話す。「大事な年だからプレッシャーを感じている。去年はのびのびできたのに。もっとゴールに向かっていきたい」。コロナ禍にあっても今季54試合を行う予定。勝負はこれからだ。=敬称略
(田中克二)