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サウジ・日・豪、立場複雑な3強 サッカーW杯最終予選

サッカージャーナリスト 大住良之

2022年11月から12月にかけてカタールで開催されるワールドカップのアジア最終予選もいよいよ大詰めとなった。A組ではイランと韓国が他を大きく引き離し、1月27日にも両国の出場権獲得が決定する可能性がある。だがB組は、現時点ではサウジアラビアが大きくリードしているものの、今後の日程を考えるとまったく予断を許さない状況だ。

昨年9月に始まったこの最終予選の序盤戦にオマーンとサウジに敗れ、苦境に立たされた日本だったが、11月に第6節を終えた時点で4勝2敗、2位に浮上し、終盤戦に突入する。1月27日に中国、2月1日にサウジを埼玉スタジアムに迎える連戦では、2連勝が必須とされている。どちらかで勝ち点を落とすことになれば、オーストラリアに抜かれ、再び「プレーオフ圏」の3位に転落する恐れがあるからだ。

しかし事情はそう単純なものではない。苦しいのは、日本だけではないのだ。今回は、サウジと豪州の立場から、残り4試合を考えてみよう。

サウジの残り試合は、オマーン(ホーム)、日本(アウェー)、中国(アウェー)、豪州(ホーム)。このうち中国とのアウェーゲームは、アラブ首長国連邦(UAE)などの中東になる可能性が高いため、コンディション面では恵まれている。最も大きな難関は日本とのアウェーゲームとなる。

オマーンに勝って日本に乗り込むことになれば、少なくとも勝ち点4差のまま日本戦を迎えられる。もし日本で勝てば、その時点で出場権決定となる。引き分けに終わっても、日本との勝ち点差は4のまま、豪州が同時期に連勝しても、勝ち点3差という非常に大きなアドバンテージで最後の2節を迎えることができる。

だが日本に負ければ、上位3チームの勝ち点差は一挙に縮まる。この「3強」が3強以外の3チームとの試合にすべて勝つという仮定の上での話だが、残り2節の時点でサウジが勝ち点19、日本が18、豪州が17と、大接戦になってしまうのだ。サウジとしては、この状況だけは避けなければならない。

サウジは昨年の11月から12月にかけてカタールで開催された「FIFA(国際サッカー連盟)アラブカップ」で勝ち点1しか挙げられず、ヨルダンとモロッコに敗れてグループリーグで敗退した。しかしこの大会に送ったのは22歳以下の選手を中心としたチーム。ワールドカップ予選を戦っているチームとはまったく別の選手たちだった。参考にはならない。

豪州はどうだろう。残り試合は、ベトナム(ホーム)、オマーン(アウェー)、日本(ホーム)、サウジ(アウェー)。3月に行われる日本、サウジとの直接対決2連戦にすべてをかける形だが、それだけに、1月と2月の2試合は着実に勝っておかなければならない。メルボルンで戦うベトナム戦は、日本と同じように、欧州から戻ってくる選手たちのコンディションが重要なカギとなる。だが大きな難関は2月1日のアウェー、オマーン戦だ。

豪州はこの最終予選の初期のホームゲーム2試合をいずれもホームで開催することができず、カタールのドーハで戦った。結果は中国に3-0、オマーンに3-1。かつては「中東で苦しむ豪州」のイメージがあったが、それは完全に払拭された観がある。ただ昨年11月16日の中国とのアウェーゲーム(UAEのシャルジャで開催)は1-1で引き分け、オマーンに勝った日本に2位の座を奪われる結果となっている。

だが、日本とサウジに追いすがり、3月の2試合でひっくり返すためには、1月と2月の2試合はなんとしても連勝しなければならない。その状況は日本とよく似ている。ベトナムはこれまで6戦全敗で最下位とはいえ、どの試合でも粘り強い攻守を見せているチーム。油断は許されない。そしてアウェーでオマーンの堅守を破り、速攻を食い止めるのは、けっして簡単なことではない。

現在勝ち点7で4位のオマーンだが、あきらめているわけではない。来週から迎えるのは、サウジとのアウェー戦と豪州とのホーム戦。3強を相手に連勝できれば、勝ち点は13となり、一挙に「2位争い」に加わることができる。3月はベトナム戦(アウェー)と中国戦(ホーム)。失うもののない戦いで、最後の波乱を演出するのか、不気味な存在である。

4勝2敗、勝ち点12で2位の日本だが、得失点差はわずか「+2」。6試合の総得点がベトナム(4)に次いで少ない5と、得点力の欠如が明白だ。最後の場面で同勝ち点で並べば、得失点差の小ささが困難な状況をつくりだすかもしれない。逆にいえば、サウジと豪州は、勝ち点で並びさえすれば日本より優位に立てるということだ。その代わり、日本には、残り4試合のうち3試合をホームで戦うというアドバンテージがある。

これから行われる3強の直接対決ですべてが決まるのか、それとも他の3チームが意外な結果で波乱を引き起こすのか――。「視点」を変えてみると、この組がこの時点になっても、まだ複雑な様相を帯びていることがよく理解できるはずだ。

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