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Jスポーツ、ラグビーTL全中継 カメラ多数で新演出

2020年1月、大勢の観客が観戦する中で行われたラグビートップリーグのトヨタ自動車―パナソニック戦=共同

スポーツ専門放送局のジェイ・スポーツ(東京・江東、Jスポーツ)は20日開幕のラグビー・トップリーグ(TL)の全試合を実況・解説付きで放送する。従来は半数の試合だけが対象だったが、ラグビー熱の高まりを受けて全カードをカバー。カメラ台数を増やし、新しい演出も始める予定だ。

「ワールドカップ(W杯)の盛り上がりを受けてラグビーの魅力を伝えるとともに、攻めの姿勢で加入者を獲得したい」。同社の大谷寛プロデューサーは意気込みを語る。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で他競技のコンテンツの予算は削減傾向だが、ラグビーには積極的に投資するという。

コロナ禍で途中打ち切りとなった昨季のTLは、半数強の試合をBS放送などで中継、全試合をインターネットで動画配信する予定だった。配信だけの試合は実況や解説なしのケースもあったが、今季は全75試合に解説をつけて放送、配信する。

社を挙げてラグビーに注力する背景には、2019年のW杯日本大会でつかんだ手応えがある。同社の動画配信サービス「Jスポーツオンデマンド」のラグビーパックは、W杯中の加入者純増数が15年大会時の2.7倍に急増。累積加入者数でも19年10月に過去最高を記録した。20年1月に開幕した昨季のTLでも勢いは衰えず、20年2月の累積加入者数は歴代2位となった。

ところが、昨季のTL打ち切りの後、ラグビーパックの累積加入者数はいったんピークの半数以下にまで減った。W杯以降、ラグビーの放映権料が日本で高騰していることもあり、南半球4カ国対抗戦などの放映も今年はできなくなった。「次の機会には放映権を取り戻しにいきたい」と大谷プロデューサー。「本丸」と見据えてきたTLも、予定されていた1月16日の開幕前に各チームにコロナの陽性者が多発。スタートが1カ月遅れたうえ、試合数も減ることとなった。

ただ、まだW杯の余熱はあるようだ。大学ラグビーが開幕した後の20年10~12月、ラグビーパックの累積加入者数は再び過去最高に迫る勢いとなった。「学生ラグビーが再開されたことで視聴者は戻って来た。TLの開幕でさらに盛り上がると期待している」と大谷プロデューサーは話す。

仕切り直しの開幕となった今季、過去にない見せ方にも挑戦する。一例がスターの「密着カメラ」。今季はニュージーランド代表のボーデン・バレット、元スコットランド代表主将のグレイグ・レイドロー、オーストラリア代表主将のマイケル・フーパーら、海外の有名どころがさらに増えた。1人をアップで撮影し続けることで、ボールを持っていないときのプレーや、試合が止まっているときのしぐさまでつぶさに放映することができる。「生中継で特定の選手だけを追いかける演出は初めて」と大谷プロデューサー。注目カードでの実現に向けて準備している。

東芝・リーチ(左)の突進を阻むパナソニック・稲垣。今季の中継では特定の選手だけをカメラで追いかける演出も試みる=共同

カメラ台数も増やす。昨季は1試合あたり4~5台が基本だったが、今季は対戦カードの重要度に応じて5~8台を用意。プレーオフなどの大一番では10台ほどを投入し、様々な角度からの映像を提供する。例えばゴールポストの後方にカメラがあると、バックスのサインプレーや守備のどこに穴があるのかなどをスローで再生することができる。

同社はこれまでもラグビー中継に力を入れてきた。積み重ねが生きているポジションがあるという。ピッチ上のやや高い位置から、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)を中心に撮影する「3カメ」と呼ばれるカメラマンだ。

「ニュージーランドでも3カメはラグビーを熟知した人が務める」。モールでトライを取ったのはどの選手か、ブレイクダウンで相手の球出しを遅らせたのは誰か……。玄人好みのプレーをした選手をアップで「抜く」ことで視聴者に見せられるのは、熟練の3カメがあってこそだという。

東京・早稲田実業高ラグビー部の監督も務める大谷プロデューサーは「スポーツ専門チャンネルとして、ラグビーの本質を伝える責任を負わないといけない。W杯で興味を持ってもうちょっと見たいと思った人に、ラグビーの深いところを丁寧に伝えたい」。国内で1年ぶりのトップレベルの試合となる今季のTLは、その絶好の機会だと考えている。

(谷口誠)

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