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Jリーグ、変貌して勝負の秋へ 浦和や神戸は大補強

サッカージャーナリスト 大住良之

首位の川崎を追う横浜Mは突然の監督交代後も好調をキープしている=共同

オリンピックの閉会式翌日、9日に再開されたJリーグ。約1カ月間の中断でいくつものチームが大きく変貌し、「第2の開幕」の様相を呈している。変貌の原因は、多くの場合は選手の入れ替わりだが、監督の交代で変わりつつあるクラブもある。

全クラブがほぼそろって日程を消化していくという2019年までのJリーグは、昨年以来忘れられようとしている。新型コロナウイルス禍、そしてそれに伴うアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の日程変更、日本代表日程の変更などで、シーズンに入ってから2度、3度と大幅な日程の組み直しがあった。そして2月から過密ぎみに進められてきた日程は、6月の前半に1度日本代表の試合で3週間近くの中断が入り、さらに7月から8月にかけてはオリンピックで1カ月間の中断があった。

「ぶつ切れ」のシーズンは、苦戦するチームに立て直しの時間を与えるとともに、思いがけない「流出」で困惑するチームも生み出した。

「監督流出」で大きなショックを受けたのが横浜F・マリノスである。ポステコグルー監督が突然辞任、スコットランドのセルティックの監督になってしまったからだ。コロナ禍で後任監督との契約交渉や来日が遅れ、ここで大きな打撃を受ける恐れも十分にあった。

しかし監督を代行した松永英機コーチがしっかりとチームをまとめ、6月から7月にかけて任されたJ1の4試合ですべて勝利。非常に良い形で後任のケビン・マスカット監督に引き継いだ。マスカット監督は日本代表FWオナイウ阿道のフランス移籍にも動じず、8月6日から10日間で4試合という「オリンピック並み」の強行日程を、選手をうまく回しながら3勝1分けで乗り切って2位をキープ、首位川崎に勝ち点6差まで詰め寄った。

8月15日の大分戦では、オリンピックで不完全燃焼だったFW前田大然がハットトリック。欧州ではまだ「移籍ウインドー」が閉じられておらず、この活躍で前田に誘いがかかる可能性は十分にある。だがオナイウの穴埋めのために浦和から獲得したFW杉本健勇がこれまでにない闘志を見せており、大崩れはしないだろう。

三笘(右)ら攻撃の中心が欧州へ移籍した川崎には9月に過密な日程が控えている=共同

川崎フロンターレは、Jリーグでは中断まで昨年以上のハイペースで飛ばして首位を独走し、6~7月にウズベキスタンで行われたACLのグループステージでも6戦全勝、圧倒的な強さでラウンド16に進んだ。しかしこの夏にMF田中碧、MF三笘薫という攻撃の大きな戦力を欧州への移籍で失った。

いまや、通常は攻撃的に戦うチームも、川崎に対してだけは「いかに止めるか」を優先した試合をしてくる。極端に言えば昨季から今季前半にかけて1年半にもわたって川崎に手玉に取られ続けてきたのだ。多少ポリシーを曲げても誰も文句は言わない。再開後の2戦、川崎は自陣に引いた相手をなかなか崩せず、「1試合3点がノルマ」と豪語していた鬼木達監督も表情を曇らせた。第23節の大分戦はそれでも2-0で勝ったが、第24節の柏戦は相手GK金承奎(キム・スンギュ)の好守もあって0-0で引き分けた。

Jリーグだけでなく、天皇杯、ルヴァンカップ、そしてACLと4大会を並行して戦わなければならない川崎は、9月だけで7試合が予定されており、絶好調のエース、レアンドロダミアンの調子が落ちたら苦しいことになる。追う横浜Mがすでに天皇杯もルヴァンカップも敗退し、9月はJリーグの3試合だけに集中すればいいのとは大きく違う。

浦和には日本代表DF酒井(左)らが新戦力として加わった=共同

現状の勝ち点から見て、今季の優勝争いは川崎と横浜Mの2チームに絞られたと見ていいが、熾烈(しれつ)なのが3位争いだ。そしてそのなかに、今夏の「変貌の主役」と言っていい浦和レッズとヴィッセル神戸、さらに名古屋グランパスがいる。

今夏の「補強レース」で先陣を切ったのが浦和だ。長く欧州でプレーしてきた日本代表DF酒井宏樹の獲得を発表すると、デンマーク代表経験のあるDFショルツも補強し、さらには柏から日本代表MF江坂任を獲得。第24節の鳥栖戦では、8月に入ってJ2の水戸から獲得したばかりのMF平野佑一を加えた新加入の4人が出場、3位の鳥栖を2-1で下した。

名古屋はポーランド代表FWシュビルツォクを獲得。本格的なセンターフォワードで、エース格になりつつあったFW山崎凌吾の故障による長期離脱の穴を埋めた。さらに守備陣には札幌から韓国人DFの金眠泰(キム・ミンテ)を補強。金眠泰は第24節の湘南戦では攻守に活躍、決勝ゴールも決めた。

日本代表のエース大迫ら大物を次々と獲得した神戸は台風の目となる可能性がある=ロイター

そして神戸である。エース格だった日本代表FW古橋亨梧を欧州への移籍で失ったが、日本代表のエースである大迫勇也だけでなくFW武藤嘉紀も欧州のクラブから獲得、さらにスペインの天才FWといわれたボージャンの獲得を相次いで発表した。第24節の広島戦(アウェー)が豪雨のため延期になり、3人ともまだ神戸のユニホームでプレーしていないが、この3人を名手イニエスタが操ることを考えると、神戸が今季残りのJリーグの台風の目になる可能性は十分ある。

4チームが降格する史上最も厳しい「残留争い」で波乱を起こしそうなのが、まだ最下位(20位)から抜けられないものの大変貌を遂げた横浜FCだ。今夏、一挙に5人の外国人選手を獲得。なかでもドイツ五輪代表のGKブローダーセンは、早くも大きな戦力アップにつながっている。しかし早川知伸監督は外国人選手に残留を託したわけではない。中断中にしっかりチームを鍛え直し、激しく動くサッカーのなかでMF松尾佑介らが躍動するようになって、第23節には上位の名古屋に2-0で快勝した。

20クラブ、全38節の今季J1もすでに24節まで終了し、3分の2近くを消化した。だが「優勝争い」も「3位争い」も「残留争い」も、最も重要なのはこれからだ。「勝負の秋」へ、新戦力がどれだけそれぞれのチームを変えるか、興味は尽きない。

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