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楽天 「強い東北」の体現者に 被災地支援10年

福島県相馬市に造成した相馬こどもドーム。楽天球団が整備した施設は計10カ所に上る(2014年)=楽天野球団提供

東日本大震災の発生から今年で10年。被災地の宮城県に本拠を置き、東北の復興支援に取り組んできたプロ野球楽天は18日から本拠地での対オリックス3連戦で、毎年恒例のイベント「がんばろう東北シリーズ」を実施する。節目の年に立花陽三球団社長は「地域活性化は特に東北において重要。その思いを体現したい」と話す。

被災自治体への寄付や楽天生命パーク宮城での仮設商店街開設などに取り組んできた「がんばろう東北」企画では今回、物産展「復興マルシェ」を開催。青森県弘前市の「王道アップルパイ」や福島県南相馬市のからみ漬けなど各地の特産品が一堂に集まる。

試合では監督やコーチ、選手の帽子に「がんばろう東北 仙台市」などと、被害の大きかった岩手、宮城、福島各県の沿岸部や避難区域にある42市町村の名をあしらったワッペンを付ける。

出身地の岩手県普代村の名入り帽子を着用する銀次は「こういう機会を通して僕らのふるさと、東北のことを知っていただけることが何よりうれしい」とコメント。立花社長は「三木谷浩史オーナーの『ぜひ付けて戦いたいよね』というアイデアから実現した。一緒に頑張ろうというのをアピールしたい。特別な思いを持って付けさせていただければ」。ほかに青森、秋田、山形を含む東北の全227市町村名を球場のビジョンに表示する。

「復興マルシェ」では東北各地の特産品が一堂に集まる(2020年のがんばろう東北シリーズ)=楽天野球団提供

この10年間、球団が続けてきた被災地支援の取り組みの中でも代表的なものの一つが、子どもの遊び場の整備だろう。

震災発生当初、東京電力福島第1原子力発電所事故の影響から外遊びの危険性が指摘された。一方で公共の体育館など屋内施設の数は十分とはいえず、遊ぶ場を失った子どもの体力低下やストレス増大が懸念された。

そこで球団は2014年、2億円近い寄付金を集めて福島県相馬市に「相馬こどもドーム」を建設。やがて外遊びへの抵抗感が薄れていったことで、岩手県大槌町の「大槌こどもグリーンフィールド」など屋外を含む計10件の施設を造成、地元自治体に寄贈した。

2017年に造成した岩手県大槌町の大槌こどもグリーンフィールド=楽天野球団提供

甚大な被害を受けた自治体を中心に「ほぼ全ての球団職員が行ってニーズを聞いている」と立花社長。球団挙げての支援の熱は選手にも伝わる。

13年のリーグ優勝と日本一の原動力になった翌年、米大リーグに移った田中将大が今年、楽天に復帰した。「東北への思いや人への思いが人一倍強い男。(震災発生から)10年というのがなかったら、もしかしたら戻ってきていないのではと感じる」と立花社長は話す。

立花陽三社長=楽天野球団提供

新型コロナウイルス禍で昨年から観客の入場制限が続き、チケットや物販の収入が減少。一方で21年12月期のスポンサー収入は前期比で15%増えて過去最高になる見込みだ。「この2年間は本当にファンの方とスポンサーに支えられている」と立花社長は感謝する。

コロナ禍が収束した後には、本拠地での試合観戦を東北観光の目玉の一つとして全国にアピールしたい考え。「そういったことのハブになるような仕事をしていきたい」

そのために必要と感じるのが、強いチームであること。何より優勝こそが「東北の方々の闘う姿勢とか、前を向いて生きる姿勢につながる」と立花社長。「13年の優勝を知らない子どもたちもたくさんいる。もう1回優勝して一緒に盛り上がりたい」と、再び「強い東北」の体現者になる思いに満ちている。

(合六謙二)

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