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ゼロックス杯、G大阪は「打倒川崎」のヒント示せるか

サッカージャーナリスト 大住良之

元日の天皇杯で川崎に敗れ、準優勝に終わったG大阪=共同

日本サッカーのシーズン幕開けを告げる「富士ゼロックス・スーパーカップ」。昨季Jリーグ優勝の川崎フロンターレと、天皇杯準優勝(優勝は川崎)のガンバ大阪との一戦が、20日に埼玉スタジアムで開催される。昨季、圧倒的な強さでJリーグと天皇杯の2冠を制した川崎をどう止めるか、例年に増して興味深い試合になりそうだ。

G大阪は昨季川崎と3戦して3敗。得点0、失点7と、相手にされなかった。Jリーグの1位、2位として、川崎の優勝決定を少しでも遅れさせようとぶつかった11月の対戦では、0-5の完敗で、川崎に史上最速優勝を決めさせてしまった。2021年元日の天皇杯決勝でも、守備的戦術で失点こそ1だったが、シュート数では7-27と、0-5のリーグ戦(5-19)より受け身の内容となってしまった。

それだけに、宮本恒靖監督の「打倒川崎」への思いは強い。今季の補強は、その思いを裏付けるものだった。

天皇杯で川崎に敗れ、うつむくG大阪・宮本監督。「打倒川崎」への思いは強い=共同

昨年の戦力と比較すると、G大阪からはFWのアデミウソン(移籍先未定)と渡辺千真(横浜FCへ移籍)がチームを離れたが、J2の松本山雅所属で昨年はサンフレッチェ広島でプレーし、15ゴールを記録したFWレアンドロペレイラ、そして昨年はサガン鳥栖でプレーしていたFWチアゴアウベス、さらに韓国代表MF朱世鐘(チュ・セジョン)を補強した。

これによって、FW宇佐美貴史、FWパトリック、MF倉田秋といった「個」の力をもつ攻撃陣の層が非常に厚くなり、中盤も、MF井手口陽介に加えて朱世鐘が力強く支えることができるようになった。Jリーグで2位という見事な順位につけたにもかかわらず、川崎のシーズン88得点から大きく見劣りする46得点に終わった得点力を改善することが今季に向けての最大の課題だっただけに、その態勢は整ったとみえる。

一方の川崎は、大黒柱中村憲剛の引退はあったもののほぼ昨年どおりのメンバー。「勝っているチームは変えるな」という鉄則があるが、MF三笘薫やMF田中碧など伸び盛りの若手もいるので、大幅な補強の必要性は感じなかったのだろう。

ただ、「アンカー」として昨年MVP級の働きを見せたMF守田英正がポルトガルに移籍してしまったのは痛手だ。名古屋グランパスからMFジョアンシミッチを獲得したが、守田の穴にしっかりはまるだろうか。スペースを消し、相手からボールを奪回することにかけて抜群の働きだった守田と比較すると、シミッチはより攻撃面で良いものをもっている。この違いが、チームのアンバランスにつながらないだろうか。

川崎は札幌との練習試合で大量得点を挙げるなど破壊力は今季も健在=ⓒKAWASAKI FRONTALE・共同

2月12日にキャンプ地の沖縄で行われたコンサドーレ札幌との練習試合、45分4本の試合で、川崎は、4-0、3-0、4-1、3-2と14得点を奪うという破天荒なスコアで快勝した。昨年も「1試合3得点」を掲げて88ゴールを記録したが、この札幌戦だけを見れば「1試合7得点」という破壊力である。J2のアビスパ福岡(今季はJ1)に期限つき移籍でチームトップの11ゴールを記録した遠野大弥、大分トリニータへの期限付き移籍で攻撃をけん引する活躍を見せたFW知念慶が復帰し、「自分が得点する」という積極的な意欲にあふれた選手が並んでいるのは、鬼木達監督にとって心強いことだろう。

右からMF家長昭博とDF山根視来、左から三笘とDF登里享平が突破し、MF大島僚太や田中が押し上げる川崎の攻撃を止めるのは、どんなチームにとっても至難の業。なかでも変幻自在のドリブルで相手DFを翻弄し、チャンスをつくるだけでなく正確無比なシュートももつ三笘をどう止めるかは、今季のJリーグ全チームの重大なテーマだ。

川崎・三笘(中)をどう止めるかが今季のJリーグ全チームの重大なテーマ=共同

天皇杯決勝のときと同様、G大阪は右サイドバックの高尾瑠が三笘に対することになるだろうが、この天皇杯では、宮本監督は、相手ボール時には右MFの小野瀬康介を高尾の外まで下がらせ、川崎の左サイドバック(この試合では旗手怜央)との関係を断ち切るという形で三笘を取り囲んだ。

この守備策は一応は成功したのだが、同時にG大阪の前線が孤立し、攻撃をつくることができなくなってしまった。天皇杯決勝戦のG大阪の試合プランは、今季、多くのチームで使われることになるだろうが、あまり前向きとはいえない。G大阪が強力攻撃陣を並べて川崎の攻撃力をもったサイドバック(右・山根と左・登里)の前進を抑制することができれば、「川崎対策」の大きなヒントとなるだろう。

Jリーグに集中していればよかった昨年と比較すると、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)と並行してJリーグを戦わなければならない今季は、川崎にとってよりタフなシーズンとなる。川崎の攻撃の質が落ちることはないだろうが、昨年ほど簡単に得点を取れなくなれば、Jリーグ自体が大きく様相の違ったものとなるだろう。富士ゼロックス・スーパーカップでは、「打倒川崎」の秘策を練る19クラブの先頭を切って川崎に挑むG大阪の戦いぶりに、大いに注目したい。

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