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女性とスポーツ 日本の対応に後れ、盗撮被害やっと対策

小笠原・順大大学院教授に聞く(上)

アスリートの性的な撮影被害や画像拡散の問題で、JOCなど7団体が発表した共同声明をデザイン化したボード。右奥から3人目はスポーツ庁の室伏広治長官=共同

2020年11月、日本オリンピック委員会(JOC)など各スポーツ統括団体が共闘し、盗撮対策に乗り出す宣言をした。選手たちの訴えから4カ月ほどで動いたことが話題になったが、盗撮は昔からあり、フィギュアスケートなど観客による撮影を全面禁止にしている競技もある。「やっと重い腰をあげたかな」と語るのは順天堂大大学院教授で同大女性スポーツ研究センター長の小笠原悦子さん。競泳コーチの経験も長い小笠原さんに、女性とスポーツの問題について聞いた。

「盗撮対策として、1990年代には怪しい人は会場に入れないようにしていた。ただ、盗撮目的の人と選手の家族の区別がしにくく、問い詰めると人権問題になる。いたちごっこが続いていたのに、JOCなどは今まで何をしていたんだ? とは思う。近年スマートフォンの性能が加速度的に上がり、対応せざるをえなくなったのだろう」

「20年7月、国際人権団体『ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)』が日本のスポーツの現状について提言したリポートの存在も大きかったと思う。『数えきれないほど叩(たた)かれて』というタイトルで、日本スポーツ界のハラスメント状況、対策が全く効果を上げていないことを批判する強烈な内容だった。日本ではあまり話題にならなかったが、各スポーツ団体はHRWに協力しており、目を通したことでしょう」

「13年に東京五輪開催が決まったことは、日本スポーツ界にとって『鎖国からの開国』。国際オリンピック委員会(IOC)を筆頭に、海外のスポーツ関係者と会う機会が増え、海外の目を無視できなくなった。世界のスポーツ界では女性の進出はめざましく、現場に女性が少ないと相当格好悪い。五輪招致を機に女性活用が進んだ」

「IOC理事会も18年に『Gender Equality Review Project』を承認し、男女平等実現に向けての具体的な目標を設定した。JOCも女性理事の比率を40%にすると目標を掲げた。日本人は真面目なので守ろうとはする。盗撮問題の記者会見に登壇したのは男性ばかり、JOC理事も24人中女性は5人ですが、頑張っているとは思う」

「11年にスポーツ基本法が成立した際、女性スポーツの振興策が盛り込まれたものの、競技力アップが主眼で、国際女性スポーツワーキンググループの年次会議で『(振興策は)メダル数を増やすため』と説明して失笑された頃からは変わってきた。ただ、スポーツ庁の女性アスリートの育成・支援プロジェクトは健康、競技力向上を目的としたものばかりで、ハラスメント対策関連の事業は支援されない」

「盗撮を含むハラスメントの被害者は女性だけでない。女性指導者から男児、男性指導者から未成年男子という例もある。被害を恥と思う男子の被害は表面化しにくく、海外でようやく男子選手が幼い頃の性的虐待を訴え、指導者が罰せられる例が出てきたところ。日本でもあるとみていい。競技団体から独立した専門機関は必要だ」

(聞き手は原真子)

 1981年中京大卒、同大および鹿屋体育大で水泳コーチをし、88年ソウル五輪に競泳代表スタッフとして参加。97年オハイオ州立大学にてスポーツマネジメントで学術博士号取得。スポーツに関わる女性を支援するNPO法人ジュース(JWS)理事長。2011年から順大教授、14年同大女性スポーツ研究センター長就任。

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