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五輪の東京「AI浮世絵」で 学生、世界に発信

国立競技場に近い津田塾大学千駄ケ谷キャンパス(東京・渋谷)の学生たちが風景写真を浮世絵風の画像に変換するシステムをIT企業と共同開発した。人工知能(AI)を活用した「AI浮世絵」だ。東京五輪はほぼ無観客となったが、競技場周辺を撮影する学生たちは「オンライン写真展を開き、五輪が開かれている東京の雰囲気を浮世絵の文化とともに世界に届けたい」と話している。

「赤と緑は浮世絵に変換すると映えるね」。「TOKYO2020」と大きく書かれた国立競技場の装飾を前に、学生たちがスマートフォンを構える。周辺で記念撮影する人は増えているが、学生たちの目的は違う。AI浮世絵に変換させる素材の収集だ。

江戸時代の代表的な浮世絵師、歌川広重の風景画「名所江戸百景」をAIに学習させ、現代の風景写真を木版画ならではの独特の質感を持つ浮世絵風の画像にデジタル加工できるようにした。システム開発は東京五輪・パラリンピックを機に地元を活性化させようとする津田塾大の「梅五輪プロジェクト」の一環。IT企業のエヌアイデイ、浮世絵専門の太田記念美術館(東京・渋谷)などが協力した。

国立競技場の前にある五輪シンボルの写真
浮世絵風に加工したデジタル画像

梅五輪プロジェクトは2017年にスタートした学生主体の活動。競技場周辺の英語版地図をつくったり、キャンパスで浮世絵や日本茶、漆工芸、将棋などの日本文化を英語で紹介したりすることを企画していた。特に浮世絵については大学が太田記念美術館と連携協定を結び、学芸員を招いた勉強会を開いてきた。

ただ新型コロナウイルス禍で、海外からの観戦客らと直接の「おもてなし」や文化交流はできなくなった。学生たちはAI浮世絵やオンラインのバーチャル空間などを使った活動に軸足を移した。

変換システムはどんな風景写真でも扱えるが、こだわるのは国立競技場のある地元で学生生活を送る自分たちが見てきた風景だ。周辺には東京大会で卓球などの会場となる東京体育館、ハンドボールなどを実施する国立代々木競技場もある。見慣れた風景でも「浮世絵化」したときに意外感があり、新鮮な印象を受けるという。より浮世絵風にするにはどう撮影すればいいのか、試行錯誤を続けた。

学生たちは大会期間中に「バーチャルオリンピックツアー@津田塾大学」というオンラインでの写真展を計画している。AI浮世絵に英語の解説文などを載せる。スマホで撮影した動画でつくる「動くAI浮世絵」も公開する予定だ。

コロナ禍で梅五輪プロジェクトを取り巻く環境も一変した。キャンパスに通えない時期があった。大会が1年延期となり、中心メンバーだった先輩たちは今春卒業した。現在代表を務める3年生の前田美樹さんは「先輩たちの思いを引き継ぎ、国内外の様々な人に浮世絵の文化を発信したい」と話している。

(山根昭、近藤康介)

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