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サッカー選手としての意見を伝える 話し合いの重要性

FCカルタヘナでのシーズンは2試合を残すのみ。一時、昇格プレーオフ圏内で奮闘したものの終盤の低迷で昇格の望みはすでに絶たれた。スペイン2部リーグ全22チーム中、予算的には20番前後といわれるカルタヘナだから、2試合を残して9位という成績も健闘したと思っている。

先日、クラブの会長とじっくり話をする機会があった。通訳として、友人が間に入ってくれたこともあり、有意義な時間を持てた。

カルタヘナはこれまで何度も財政難に陥り、救われてきた歴史を持つクラブだ。なぜ、そんなクラブに手を差し伸べたのかといったさまざまな思いを会長の口から聞くことができた。

僕が出身地の兵庫で「FC BASARA HYOGO」というクラブを運営し、将来はJリーグ入りを目指していることも話した。サッカーで地元に恩返しをしたいという思いは、会長と同じだと確認できたことがうれしい。

昨シーズンまで在籍したウエスカとは、スペインと日本の子供たちの文化交流を目的とした「シンジ・オカザキ―SDウエスカ・アカデミー」というプロジェクトをスタートさせた。カルタヘナとは、また違った形での関係が続いていけばいいなと考えている。

今季、僕は自ら動いて監督と話をした。そのことで僕の立場が改善したわけではない。しかし、思いを知ってもらえたという事実だけで、今まで抱き続けてきた「どうせ監督には分かってもらえない」という怒りにも似た感情が和らぎ、サッカーを楽しめたと思う。

欧州では監督と選手の距離は非常に近い。起用方針も含めて、選手から監督に意見を伝えることは日常の風景だ。監督がそれらをすべて聞き入れることがないのはもちろんだが、それでも選手は主張をやめない。

そういう現場にいながら僕はこれまで同様の行動をとったことがなかった。日本での監督と選手の関係は、学生時代の先生と生徒という関係がずっと続いているような雰囲気がある。だから、選手から監督に進言するという文化がなかった。それはプロになっても同じようなものだったのかもしれない。

「言えるわけがない」「監督にこびを売っていると周囲に見られたくない」という気持ちや「言わなくとも分かってもらえる」という甘えもあったのかもしれない。

けれど、やはりコミュニケーションは重要なのだと改めて感じている。それはカルタヘナの会長との対話でも実感したことだ。

日本で部活動の体罰問題が続いている。〝正義〟は人の数だけ存在するといってもいいのだろう。しかし自分の正義を押しつけることで生じる副作用の大きさを大人は考えるべきだ。相手を傷つけるコミュニケーションは、コミュニケーションではないということも。

(カルタヘナ所属)

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満身創意(岡崎慎司)

サッカー元日本代表、岡崎慎司選手の連載です。FCカルタヘナでのこと、日本代表への思い、サッカー選手として日々感じていることを綴ったコラムです。

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