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雑談を取り戻せ 球団内オンライントークの試み

横浜DeNAベイスターズ広報 河村康博

昼休みを使ったオンライントークセッションを考案した斎藤。コロナ禍で育休から復帰し、以前と比べて同僚と雑談する機会が減ったと感じていた=球団提供

2021年のプロ野球もレギュラーシーズンは残り約1カ月となりました。昨シーズンに続いて新型コロナウイルスの影響を受け、球場で声を出して応援することなど、これまで当たり前だったものが制限される状況が続いています。本コラムではコロナ禍に対応する球団の新たな試みをいくつか取り上げてきましたが、今回は視点を少し変えて、球団内で起こったコミュニケーションの変化についてご紹介したいと思います。

新型コロナは試合の観客数や観戦スタイルに多大な影響をもたらしましたが、当然のように私たち球団職員の働き方も変わりました。出社の必要がない日は在宅勤務となり、会議はほぼ全てがオンライン前提です。私も自宅の部屋の一角に小さな作業スペースを用意し、デスクや作業用モニターなど関連機器を一通りそろえました。今では自宅に「職場」があることにすっかり慣れました。

在宅勤務の浸透によって満員電車での通勤を避けることができるなど、効率的な時間を過ごせています。一方で、無くなったことによって重要性を再認識したものもあります。その一つが、社内における「雑談」です。

ベイスターズでは年齢、性別、役職にとらわれず、スタッフが日々会話を繰り返し、時には何気ない雑談から課題の解決方法を思いついたり、新たな企画を生み出したりしてきました。ところが、仕事がオンライン中心になると雑談の機会が減り、互いの温度感をはかれないことがどうしても出てきます。

4月に育休から復帰した広報・コミュニケーション部の斎藤美紅も当初はその環境に驚き困惑したといいます。
球団の社長と代表が参加したトークセッションでは、斎藤が司会役を務めた=球団提供

斎藤「これまでは他部署のメンバー含めて事務所で顔を合わせていたので、わからないことは気軽に聞いて疑問を解消していました。同僚と一緒にランチに行くことも多く、誰がどんな仕事をしているか把握するのに苦労することはありませんでした。ただ、育休から復職してからは、同僚と雑談する機会が減ったこともあり、それぞれ人となりを把握するのが難しくなったと感じることがありました」

そこで、斎藤が中心となって始めた取り組みがランチの時間を使ったオンラインでの社内トークセッション企画です。まずは球団や球場運営会社の役員をゲストとして呼んで、現在の業務やプライベートについて話してもらいました。わかりやすく言うならば、役員がスタッフに向けてざっくばらんに雑談をするという趣旨です。
7月から始まったこの企画は、2週間に1回のペースでお昼に30分実施しています。「リスナー」であるスタッフはそれぞれランチを食べながらラジオ感覚で話を聞きつつ、会話への反応や役員に聞いてみたいことがある際は、チャット機能を使って参加します。斎藤が司会役となり、これまでに4回実施しました。

斎藤「役員もスタッフと顔を合わせる機会が減ってコミュニケーションが少なくなったことを悩んでいたこともあり、オンラインで気軽に参加できるトークセッションの開催を考えました。最初は手探りで心配も多々ありましたが、いざやってみると毎回100人前後が参加してくれています。社内のメンバーと過ごすリラックスした時間をみんな求めていたようです。昨年に中途入社した職員からは『業務だけでは感じることができない、会社の雰囲気を知ることができてよかった。ランチを食べながら、家で声を出して笑っています』という声が寄せられました。ポジティブな反応が多く、企画側としてはやってよかったなと思います」

「役員が出ているので仕事の真面目な話もしますが、やっぱり盛り上がるのはプライベートな話題ですね。初回は球団社長の木村洋太と球団代表の三原一晃の会でしたが、それぞれの好きなアーティストやドラマの話題で盛り上がり、もう少し業務の話をした方がよかったかと心配していました。ただ後日、スタッフとその時の話題で会話が弾んだと聞いて安心しました(笑)」

役員が愛犬の写真を紹介する場面も。プライベートな話題で盛り上がった=球団提供
プロ野球の球団は同じ会社に属していても、チームを運営するスタッフと事業を仕切るスタッフでは働き方が大きく異なり、互いの仕事内容や人となりを理解するのはなかなか難しいものです。さらに16年からは球団(横浜DeNAベイスターズ)と球場(横浜スタジアム)の一体経営もスタートし、相互連携の重要さが増しました。今回始めたトークセッションはそれらの間を埋める役割も期待できそうです。

斎藤「球団で事業を担当するスタッフからは『普段はチームと関わることが少ない。ぜひこのトークセッションでチームに帯同するスタッフのことを知りたい』『入社年数が浅い方のことを知りたい』など様々な感想がありました。役員の登壇は一回りするので、次はチームと事業の現場で働くスタッフ、球場のスタッフ、あるいは新入社員に登場してもらうのもいいかなと考えています。また、シーズンオフには外部からのゲストを招いた企画なども検討していきたいですし、やりたいことがたくさん出てきました。コロナ禍でも社内の一体感を醸成する取り組みとして今後も継続していきたいですね」

社内コミュニケーションの活性化は職場環境の改善だけではなく、お客様へのサービスにも生かされています。ベイスターズは先日、10台以上のカメラで撮影した試合の映像を自由に切り替えて楽しめる多視点映像が売りのアプリ「ベイスターズプライムカメラ powered by au 5G(β版)」(通称ベイプラ)を発表しました。これまでの野球観戦にはない新しいチャレンジだったので、公開前には社内スタッフが体験するテスト期間を用意し、感想や改善点を開発担当者に自由にフィードバックする機会を設けました。

そうして集まった社内の声はサービスや機能をアップデートする際の参考になりますし、もちろん、お客様の反応もSNSなどでしっかりチェックしています。「ベイプラ」を始め、ベイスターズが打ち出す新しい取り組みを楽しんでもらえるとうれしいです。

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