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Bリーグ川崎、経営面も「初優勝」 民間格付け19~20年

13日に行われたバスケットボール天皇杯全日本選手権を制した川崎ブレイブサンダース。2016年のBリーグ誕生以来、悲願の初タイトルを獲得したクラブはコート外でも躍進している。経営面を評価する民間調査でこのほど〝初優勝〟。ユーチューブなどのSNS(交流サイト)を活用したデジタル戦略をエンジンに、チームとフロントが一体となった取り組みで成果を上げ続けている。

バスケットボール天皇杯を7年ぶりに制した川崎(日本バスケットボール協会提供)

民間調査はデロイトトーマツグループによる「Bリーグマネジメントカップ」。B1(1部)とB2(2部)の全36クラブの財務情報をもとに、①マーケティング②経営効率③経営戦略④財務状況の4分野・計11項目を独自に点数化した。今月、3回目となった昨季(19~20年シーズン)の調査結果を発表した。

B1の18クラブのうち、川崎の分野別の順位はマーケティング3位、経営効率1位、経営戦略10位タイ、財務状況6位。総合順位で18~19年シーズンの11位から一気にトップとなった。総合2位は秋田、3位は宇都宮で、2季続けて首位だった千葉は4位だった。

分析を担当した同社スポーツビジネスグループの里崎慎氏は川崎について「昨季はディー・エヌ・エー(DeNA)が東芝からクラブを引き継いで2季目。1季目にまいた種が芽を出し、各分野で着実に成長してきている」と高く評価する。その入り口の1つが、川崎の元沢伸夫社長が「代名詞」と呼ぶユーチューブによるファン開拓だ。

初来場者の約半数、ユーチューブがきっかけ

選手が全面協力し、リングからどれだけ離れた場所からシュートを決められるかといった企画やドキュメンタリーの動画を頻繁に投稿。アイデアの面白さに巧みな編集、試合中とは異なる一面を見られる点がライト層を中心に受け、東芝時代は約3000人だったユーチューブの登録者が昨季時点で約5万人に達した。昨年末に初めて観戦に訪れた来場者に動機を聞いたところ、実に約半数が「ユーチューブ」と答えたという。

8割近い勝率を残した好成績も後押しとなり、昨季のホームの平均入場者数は4963人と、前年シーズンよりも1262人も増加。「10秒単位で改善を繰り返している」(元沢社長)という非日常感あふれるアリーナの演出、てこ入れした飲食やグッズ販売により、以前からのファンも含めて満足度を大きく高めてきた。

今季も「デジタル領域でのフロントランナーを目指す」(元沢社長)との姿勢は変わらず、昨年10月に動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」、今年3月には「はじめしゃちょー」ら人気ユーチューバーのマネジメントを手掛けるUUUMとパートナーシップを締結。動画作成ノウハウを共有し、ファンとの接点を増やして来場へとつなげていくつもりだ。

Jリーグの川崎フロンターレとのコラボレーションなど地に足のついた活動の成果もあり、課題だった知名度不足は改善しつつある。ニーズをくみ取った営業活動で、スポンサー数も事業継承前と比べて7倍超になった。最近は地元企業向けにSDGs(持続可能な開発目標)の勉強会を開くなど、試合日以外にもクラブの価値を高める活動へと幅を広げている。

13日の天皇杯決勝でプレーする川崎の篠山㊨。客席にはチームカラーの赤を身につけたファンが多く駆けつけた(日本バスケットボール協会提供)

デロイトの里崎氏は「川崎は戦略的なビジネスマネジメント(BM)で新型コロナウイルス禍でも売り上げ増を生み出し、フィールドマネジメント(FM)の好成績もBMに良い成果をもたらした」と指摘。その成長の軌跡を象徴的に伝えるのが、日本一を決める大舞台での光景だろう。

2017年5月、川崎はBリーグ初年度のファイナルで宇都宮(当時は栃木)に惜敗。この時会場となった東京・国立代々木競技場第一体育館の客席は地域密着でリーグトップクラスの人気を誇る宇都宮のチームカラー、黄色が約7割を占めていた。

そこから約4年。再び宇都宮と対戦した今回の天皇杯決勝の舞台、さいたまスーパーアリーナの客席は川崎のチームカラーである赤と、黄色がほぼ同数に変わっていた。「(宇都宮に競技面だけでなく)観客席でも追い付け、追い越せとクラブ全体で取り組み、広がりを感じている。(ファンの数が)今日は半分、半分だった。そういう中で勝ててすごくうれしかった」。どちらの試合も経験した生え抜きの32歳、篠山竜青主将の試合後の言葉に実感がこもる。

オーナー交代を経てチームとフロントが一枚岩になって進める、強くて、魅力あるクラブづくり。コロナ禍での入場制限など厳しい環境は続くが「やりたい施策がまだまだたくさんある」と話す元沢社長のもと、挑戦の足が止まることはなさそうだ。

(鱸正人)

Bリーグマネジメントカップ(B1、2019~20年シーズン)の結果
合計得点マーケティング経営効率経営戦略財務状況
川崎(11)14047292737
秋田(6)13434263638
宇都宮(2)13352223821
千葉(1)13250144523
琉球(3)12944184027
三河(4)12232133938
大阪(8)11425163736
渋谷(14)10829211642
北海道(5)10625213426
A東京(7)1053442740
名古屋D(13)10118132545
滋賀(15)9426222422
富山(12)9021173022
横浜(10)8717223513
三遠(16)8718191634
新潟(9)7823261910
京都(17)688181626
島根(7※)531021913
(注)カッコ内は2018~19年シーズンの順位。島根はB2

Bリーグ「マネジメントカップ」


デロイトトーマツグループがB1、B2の全36クラブを経営面から順位付けした独自指標。マーケティング(平均入場者数、アリーナ集客率、客単価)▽経営効率(1勝あたりチーム人件費、1勝あたり入場料収入)▽経営戦略(売上高・チーム人件費率、SNSフォロワー数、グッズ関連利益額)▽財務状況(売上高、売上高成長率、自己資本比率)の4分野、計11項目(B2は10項目)を評価し、各項目でトップなら18点、最下位は1点として総合順位をつけた。

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