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五輪マラソン、日本代表・精鋭6人のここに注目

ニッポンランナーズ代表・斉藤太郎さんに聞く

東京五輪コースでのテスト大会で走る(前列左から)一山、前田、鈴木(5月、札幌市)=共同

東京五輪のマラソンは女子が8月7日、男子は大会最終日の同月8日に札幌大通公園発着のコースで行われる。日本代表男女6選手の走りの特徴やコースのポイントをニッポンランナーズ代表の斉藤太郎さんに聞いた。

女子代表――前田穂南、鈴木亜由子、一山麻緒

ランナーには主に「夏が得意な選手と、冬に好調な選手の2タイプがある」と斉藤さんは説明した上で、「典型的に夏に適性がある選手」に女子の前田穂南(天満屋)を挙げる。

体重に対し体表面積が小さい大型選手は熱の発散効率が低く、夏に力を発揮しにくいという。元世界記録保持者ながら、4度出た五輪で一度もメダルを取れなかったラドクリフ(英国)が典型。その点、きゃしゃな前田は「熱が体にこもりにくい」。2019年9月、暑い東京で行われたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)での圧勝は記憶に新しい。

フォームは「膝から先の力が抜け、股関節でうまく進むストライド走法」。レース終盤でも上半身が硬直せず、近くにライバルがいない状況で「1人で押していける」のも特長だ。

ニッポンランナーズ代表の斉藤太郎さん

鈴木亜由子(日本郵政グループ)も夏に強い。初マラソンだった18年8月の北海道マラソンで優勝、MGCは2位と、全2度のマラソンはいずれも夏で、好成績を残している。

こちらはピッチ走法で、「しっかり体が前にいって足の指先に体重が乗り、着実に地面を捉える」と斉藤さん。駅伝を含め大崩れしない堅実さが強みで、16年リオデジャネイロで五輪を経験(女子5000㍍)していることも大きい。

女子3人で最もスピードがあるのが一山麻緒(ワコール)。昨年3月の名古屋ウィメンズで日本女子国内最高の2時間20分29秒で優勝、今年1月の大阪国際も2時間21分11秒で制した。

後ろ脚が、接地した脚より前に出る「挟み込み」の動作が速い。素早い挟み込みが、走り高跳びの助走のような跳ねる走りを生み、スピードにつながっているという。唯一の夏のレースだったMGCは6位。冬が得意な一山がどう夏仕様に仕上げるかが注目される。

男子代表――中村匠吾、服部勇馬、大迫傑

男子で2時間5分29秒の記録を持つ大迫傑(ナイキ)。米国とともに拠点にするケニアでは凹凸のある土の道を走ってきたが、不整地での鍛錬の結果、「着地がすごく柔らかくなった」と斉藤さんは舌を巻く。

背骨の両脇にある脊柱起立筋が浮き出るほどに発達。腹横筋などと合わせて、良い姿勢を保つのに大事な筋肉の充実ぶりや「日本人離れしたキック力」は目を見張るばかりだ。

男子五輪代表の(左から)中村、大迫、服部。暑さへの耐性が成否のカギになる

フォームに力強さを感じるのは服部勇馬(トヨタ自動車)で「体幹や内臓が強いのだろう。ぶれがなく、骨盤でうまく着地の衝撃を受け止める」と斉藤さん。

「マラソンは頑張って維持するようなスピードでは走り続けられず、ジョギングより少し速いくらいの感覚で押すもの。服部選手はジョギングに近いフォームで、楽に1キロ3分前後で押せる点に強さを感じる」

中村匠吾(富士通)は暑さへの耐性が強い。2位の服部、3位の大迫を抑えて優勝したMGCでは他選手の揺さぶりにも動じず、終盤にギアを上げて大迫らを振り切る強さを見せた。

「着地が柔らかく、ぴたっと地面を捉える。腕もしっかり振れている」と斉藤さん。今年2月のびわ湖毎日で富士通の後輩、鈴木健吾が2時間4分56秒の日本新記録を達成したが「その鈴木選手より強いと聞く」。女子代表3人と服部が走った5月のテスト大会は左足甲の炎症で欠場。MGC以来のマラソンとなる五輪で好走の再現を目指す。

(合六謙二)

直角カーブ40カ所、異例の周回コース


東京五輪のマラソンは、発着点の札幌大通公園を中心にまず約20キロのルートを1周した後、北側の約10キロを2周する。北側の北海道大学構内にはほぼ直角のカーブが7カ所あり、3度通る。コース全体で直角カーブは計約40カ所に上る。
「これだけカーブがあるのはストレスになる」と斉藤さん。横への動きで「膝や体の側面に負担がくる。グリコーゲンを使うので終盤にも差し支える」。
ピッチ走法の選手は比較的スムーズに曲がれるという。ただ、北大構内は道幅が狭い箇所があり、集団でカーブを通過する場合は位置取りに注意が必要だ。
開始は男女とも午前7時。気温の低さを理由に東京から札幌にコースが移されたが、涼しくなれば海外勢が前半から揺さぶりをかけやすく、「蒸し暑い方が日本の選手には有利ではないか」と斉藤さんはみる。
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