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ラグビー日本、ポルトガル相手に薄氷踏む2年ぶり勝利

ノーサイドの笛の後も、選手の表情は硬いまま。2019年のワールドカップ(W杯)以来、2年ぶりの勝利とは思えぬ光景だった。ラグビー日本代表は世界ランキングで9つ下のポルトガルと戦い、最後までどう転ぶか分からない苦戦を演じた。

「ペナルティーでペースを握れず難しい展開となった」。中村亮土(東京SG)副将は悔やむ。ペナルティー15度はこの約2年で最多となった。

主将を降りて初の試合となったリーチ・マイケル(BL東京)は気合が空回りしたか。後半開始直後に危険なタックルで10分間の一時退場。守る時間が延びたことは、守備側に厳しい主審との食い合わせが最悪だった。ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)で反則を犯しては、また攻められて笛が鳴る悪循環。6点リードの終盤にも再び一時退場者を出す。ゴール前のピンチが続く中、ラストプレーでFB山中亮平(神戸)がパスカットに成功。冷や汗をかきながら逃げ切った。

反則だけでなく、この秋の苦戦の一因、キックの使い方にもまだ課題がある。前半は17本ものキックを蹴り、そのうち15本が高く上げるハイパントなど再獲得を狙うキックだった。しかし、ボールを再獲得できたのは2度だけ。捕球した相手に重圧を掛けられない場面も目立った。

象徴的だったのが前半23分。相手が高く蹴ったが、日本は戻るスピードや追走する相手を邪魔する動きが足りない。WTBシオサイア・フィフィタ(花園)が競り負け、球を奪われる。相手の長いキックの後、今度は山中がハイパント。しかし、落ちたのは味方がタックルに行けない場所だった。陣形が乱れる中、SH茂野海人(トヨタ)が苦しい体勢で止める。倒れたところを膝で押さえられ、密集から退かない反則となる。ポルトガルの速攻。日本は戻れず、タックルもできずに逆転のトライを許した。

日本は複数の主力が負傷。休養を取らせた選手もおり、万全の布陣を組めなかった影響はあった。逆にポルトガルは〝格上〟との一戦に懸けていた。蹴り合いでの陣取り合戦などには研究の跡が垣間見えた。歯科医でもあるアプルトン主将は「きょうの試合が誇らしい」と満面の笑顔を見せる。

攻撃的だったディフェンスに手応えも

対照的に反省しきりの日本陣営だが、手応えも語る。「厳しい試合になると予想していた。いい準備ができたし、勝って次に進めることはよかった」と中村。大敗した前週のアイルランド戦から一息つけたことに安堵する。この1週間、中村が代表への思いなどを仲間に語ったことで「より一体感が出た」とリーチ。その影響もあってか守備の出足は鋭かった。ジョセフヘッドコーチは、ボールを持った相手を前進させた割合が30パーセントだったとし「ディフェンスは攻撃的になった」と評価する。

出番を得た若手、中堅が持ち味を出したことも次につながる。デビュー戦のCTB中野将伍(東京SG)は速さと強さを生かし、2トライに絡んだ。SO松田力也(埼玉)はアジア勢以外との試合で初めて80分間司令塔を務めた。小さく裏に落とすキックで先制トライを演出。8本中7本を決めたゴールキックは勝利の原動力となった。

次は遠征の最終戦となるスコットランド戦。2年ぶりの「強豪撃破」のために、まずは規律の改善が必要になる。特に8度も犯したブレイクダウンの反則をどう減らすか。今の日本は守勢のときに反則がかさむ。ボール保持率はこの日も相手を下回ったが、キックの頻度や種類を変えるなどして攻める時間を増やした方がいいのかもしれない。キックの精度や、ボールを持っていないときの動きも改善したい。劣勢を強いられたモールやほぼ五分だったスクラムも積み上げが必要だろう。

「急に強くなるわけではない。毎週いい積み重ねをしていい準備をしたい」と中村は言う。苦戦が続く今の日本だが、着実に前進の跡を見せることが2年後のW杯につながる。

(谷口誠)

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