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村田諒太「試合したい」 コロナ下、35歳の切なる思い

「2021年はまず試合がしたい」と村田。スパーリングも重ね、ジムワークでは手応えを感じている=共同

世界ボクシング協会(WBA)ミドル級王者の村田諒太(帝拳)が、最後にリングに立ってから1年以上たつ。新型コロナウイルスの災禍はスター王者にも容赦なく降りかかり、次戦の計画が浮かんでは消える状況が続く。今月12日で35歳になり、アスリートとしての終着も意識する年齢にさしかかる中、「まずは試合がしたい」と率直な思いを吐露する。

「35歳で現役でやっているのは不思議な気持ち」。誕生日の12日、村田は時の流れへの感慨を口にした。26歳で2012年ロンドン五輪に出て金メダルを取ったとき、この年齢までボクシングを続けている姿は想像していなかったという。

20年は13年のプロデビュー後初めて年間1試合もすることなく終わった。「チャンピオンでよかったなと思う。タイトルを持っている以上、我慢すれば試合は必ず来るので」。そう語る表情は明るいが、こちらの自分も想像していなかっただろう。

19年12月、スティーブン・バトラー(カナダ)を豪快に倒したのが最後の試合になる。20年は勝負の一年になるはずだった。陣営は4階級制覇王者サウル・アルバレス(メキシコ)とのビッグマッチ実現にも動いていたが、コロナ禍で全てが変わった。

本田明彦・帝拳ジム会長によると、5、6、9、12月と防衛戦を調整しては流れたという。挑戦者の入国が最大のネックだった。直近では米国選手相手に2月27日開催の準備を進めてきたが、年末からの感染拡大、さらに年明けの緊急事態宣言で断念した。「4月か5月には開催したい」と語るが、現状は白紙に近い。

12日に35歳の誕生日を迎えた。「ここまであっという間だった気もするし、この先はもっと早く感じるのではないか」と語る

村田自身に、前に進んでいる実感がないわけではない。11月からはウクライナ、メキシコの選手を呼び、約11カ月ぶりに本格的なスパーリングを再開できた。週3回、年末年始も休まず既に100ラウンド以上を消化。「やっぱりサンドバッグやミット打ちとは違う。崩れた体勢でも打たなきゃいけないし、殴られる緊張感もある。集中力を切らさずに練習できている」と充実感が漂う。

ただ、試合が決まっていない状況での実戦練習に「ゴール(試合)が決まっていればいいんだけれど、いつまで頑張ればいいんだろう、みたいな気持ちもある」と本音ものぞく。

この間、村田の身に起きた数少ない変化といえば、正規王者からスーパー王者に昇格したことだろう。暫定王者も含め、同じ階級に複数の王者を認定するWBAの姿勢はファンの批判を浴びているが、村田もそうした視線を理解しつつ「ネガティブなことではない」と言う。立場上、他団体王者との統一戦に近づいたともいえるからだ。

アルバレスが1階級上のスーパーミドル級に主戦場を移した今、最も対戦を望む相手は国際ボクシング連盟(IBF)王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)だ。全階級を通じて史上最多タイの17連続KO防衛、ミドル級史上最多の通算21度防衛を誇る実力者は、村田より一足早く昨年12月にリングに上がり、KO勝利で指名挑戦者を一蹴した。

「1年以上ブランクがありながら、力は落ちていなかった。さすがだし、見習わないといけないと思った」と村田は言う。そして、次こそ自分の番だと自任している。ゴロフキン戦を引き寄せるためにも「次の試合が死ぬほど大事」。リングに立つ日を信じて、今は静かに拳を磨き続けている。

(山口大介)

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