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首位猛進のJ1川崎 増した安定性、余裕ある勝利

サッカージャーナリスト 大住良之

コロナ禍の苦しみのなか、2月下旬に開幕したJリーグが続けられている。2020年は降格がなかったため20チームとなったJ1は、5月9日までに全38節の約3分の1に当たる13節、130試合を消化、昨年を上回るペースで川崎フロンターレが首位を独走している。(記録は11日現在)

今年の川崎はより「安定」したように見える。6月下旬からのアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に備えるため川崎はすでに15試合を消化し、13勝2分け、負けなしで勝ち点41。昨年の15試合消化時点での勝ち点38を超えている。

昨年は、後半、それも「残り15分」の得点が圧倒的に多かった。シーズンで記録した88得点のうち、後半30分以後の得点が22得点と、実に全体の25%に及んだのだ。前半45分間の得点は34%の30得点。相手が疲れた試合の後半にMF三笘薫ら新しい攻撃陣を投入し、勝負をつけ、突き放すという勝ち方だったのだ。

しかし今季は15試合で記録した39得点の51%に当たる20点を前半に記録。代わって、後半30分以降の得点が5点(13%)に減っている。前半に得点できなかった試合は3試合、相手に先制を許したのはわずか1試合にすぎない。キックオフからしっかりと攻め込んで前半のうちにリードし、後半に追加し、最後は余裕をもって勝ちきるというのが、今季の川崎の勝ち方なのだ。安定性が増すのも当然だ。

昨年出場しなかったACLに出場することでパフォーマンスの低下が懸念されたが、4月下旬~5月上旬に予定されていたACLのグループステージが2カ月延び、6月下旬~7月中旬になったことは大きい。ACLのグループステージ(ウズベキスタンで予定)から戻った後は、1試合を消化すればオリンピックによる中断に入ることになるからだ。

遅かれ早かれ避けられないMF田中碧、三笘薫、そしてDF山根視来の「海外流出」がいつになるかが今後の焦点だが、どのポジションもこなすMF旗手怜央、「期限付き移籍」から復帰してレギュラー組に劣らない活躍を見せているMF遠野大弥、FW知念慶ら、選手層の厚さは昨年以上で、「牙城」が崩れる要素を見いだすのは難しい。

対照的に、昨季川崎に次いで2位だったガンバ大阪は非常に苦しいシーズンを過ごしている。第1節終了後にコロナウイルスの「クラスター」が発生、3月に予定されていた6試合がすべて延期になると同時に、活動も停止となった。4月に試合を再開したが、コンディション調整に苦しみ、1勝4分け4敗の18位。ただ、中止になった6試合はオリンピックの期間中にこなすことが決まり、取り戻すチャンスは十分ある。

ここにきて急速に調子を上げているのが横浜F・マリノスだ。開幕戦で川崎にまったく歯が立たず0-2で完敗したときには懸念されたが、以後は負けがなく、最近は4連勝で順位も3位に上げた。FW前田大然とFWオナイウ阿道という若手ストライカーが成長、新加入のFWエウベルもチームのサッカーに慣れ、得点力が上がった。消化試合数が川崎より3少ない12試合であることから、現在の勝ち点差(14)より実際の差は小さく、この後川崎が減速することがあれば追い上げる可能性は十分ある。

意外な苦戦を強いられているのがFC東京だ。4月上旬までは4勝3分け1敗で6位につけていたが、4月11日に川崎に2-4で敗れてから調子が崩れ、5月9日の鹿島アントラーズ戦まで5連敗。あっという間に13位まで後退した。長谷川健太監督就任から4シーズン目。監督にもチームにも「執着心」が感じられないのはどうしたのだろう。

鹿島は4月14日にザーゴ監督を解任して相馬直樹コーチを監督に昇格させた。相馬新監督は守備の役割を整備し、以後3勝1分けと立て直しに成功した。

今季、誰をも驚かせる快進撃を見せているのがサガン鳥栖だ。金明輝(キム・ミョンヒ)監督に鍛え上げられたチームは1試合平均走行距離125.662㌔(20チーム中1位)という抜群の走力を生かして攻守両面で相手を圧倒、新エースのFW林大地がゴールに迫る。シーズン前には「降格候補」に挙げた人も多いなか、堂々と4位を占めている。

もう一つの驚きは昨季J2で2位となって5年ぶりのJ1昇格を果たしたアビスパ福岡だ。昨年就任した長谷部茂利監督が攻守とも連動するアグレッシブなサッカーを植えつけ、ボランチのMF前寛之を中心にスキのない試合を見せる。守備組織がしっかりしているので連敗はなく、現在6位。目標の「10位以内」は十分可能だ。

湘南ベルマーレは12位だが、開幕から5試合は1勝4敗と苦しんだものの、3月21日以降負けていない。その間の成績は2勝6分け。決定力に欠けていたが、多くの試合で相手より多くのチャンスをつくっていた。主力が何人も流出したにもかかわらず、浮嶋敏監督は昨年よりはるかに進化した、粘り強いチームをつくり上げた。入国制限で合流できなかったFWウェリントンのコンディションが上がれば、上位進出も見込める。

コロナ感染の「第4波」によって無観客試合など観客数が再度制限されるなか、試合の強度、攻撃の組み立てなど、全般的に見ればピッチ上のサッカーのレベルは上がっている。チャンスを決めきれずに勝利を逃しているチームも少なくないが、2シーズンにわたるコロナ禍にあっても、Jリーグは進化し、前進していると、私は感じている。

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