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マッチョ石川遼、世界見据え スイング大改造の現在地

編集委員 吉良幸雄

米ツアー再挑戦へ向けて大幅なスイング改造に取り組む石川遼=共同

男子ゴルフ随一の人気者、石川遼(29)が競技人生で初めてコーチ(田中剛氏)をつけたのは2020年3月のこと。これまで、ゴルフの手ほどきを受けた父・勝美さん以外から教わることはほとんどなかったが、統計データ分析にたけた田中コーチのもと、米ツアー再挑戦へ向けて大幅なスイング改造に取り組んでいる。21年9月で30歳になる「ニュー石川」の現在地は?

新スイングは以前に比べトップ位置がコンパクトになった。またトップからの切り返し、ダウンスイングでクラブを寝かせて下ろし緩やかな軌道を描く「シャローイング」を取り入れているのも特徴だ。ショットの前には毎回、素振りを3~4回は繰り返し、動きを確認している。スイングプレーンの再現性を追求。「ダウンスイングの軌道を特に重視。いいトップ位置から、理想とするインパクトへ高い確率で入れられるか」。石川を参考に渋野日向子もスイング改造に着手し、話題になっている。

新型コロナウイルス禍のため20~21年が統合された今シーズン、昨年の男子ツアーはわずか6試合の開催にとどまったが、石川は日本オープン3位など半数の3試合でトップ10入りした。

今年は4月の初戦、東建ホームメイト杯で予選落ちというスタート。ただ3月中旬開幕の米ツアー、ホンダ・クラシック(予選落ち)から帰国後2週間の自主待機があり、クラブもほとんど握れず調整不足が原因だったのは明らか。「新スイングは、完成にはまだまだ遠いけれど、むちゃくちゃ意識する段階ではなくなった」とさほど気にする様子ではなかった。

中日クラウンズ最終日、石川は今年初めてボギーなしのラウンドに=共同

手探りのラウンドで関西オープン56位、中日クラウンズでは最終日を今年初めてボギーなしで回り23位に。ツアー史上初となる選手会主催の新規大会、ジャパンプレーヤーズ選手権byサトウ食品(6~9日、栃木・西那須野CC)では3日目に4位タイに浮上。最後まで優勝争いを演じたが、最終日は「池ぽちゃ」3回。18番でこの日2つ目のダブルボギーをたたき、2打差の7位にとどまった。

スイング大改造中の石川は、肉体改造も目を見張らせる。コロナ禍で試合中止が相次いだ昨春から、今年のオフにわたる継続的な筋力トレーニングの成果だろう。広背筋は逆三角形で盛り上がり、上腕は丸太ん棒のようにたくましくなった。遠征先のホテルにもバーベルなどを持ち込み、筋トレを行い、今や「マッチョ石川」だ。

体幹や下半身などの筋力アップは、新スイングにマッチし、飛距離アップも生み出している。プレーヤーズ選手権では、ドライバーで第1打を打った時松隆光らを、3番ウッドを握り20㍎以上アウトドライブ。飛ばし屋の22歳、清水大成やA・キュー(フィリピン)のドライバーにも全くひけをとらなかった。日本プロ、日本シリーズJT杯など3勝を挙げた19年と比べても、今季は平均飛距離が9位から5位(297.5㍎)、パーオン率は33位から7位(69.97%)にランクアップしている。

オフの継続的な筋トレで体がたくましくなった石川=共同

大胆なスイング改造に踏み切った理由は明快だ。「(ドライバーなど)ロングゲームは長年の課題。それが良くならないことには、世界でやっていけない」。飛距離と正確性を上げるための効率のいいスイングを目指し、今年1年かけ、腰を据えて完成の域に近づけようと考えている。「自分の特性を理解したうえで取り組み、信じた道を貫いていくことがすごく大事」と石川。まだ元のスイングの癖も顔をのぞかせるそうで、試合を通じ「自分と対話しながら、日々必死で、新しいゴルフをやっている」。

4番、5番などのロングアイアンや3番、5番ウッドは、昨年からかなり精度は高まっている。ただ石川のゴルフの屋台骨となるドライバーに関しては「いい方向に進んでいるのでは」と手応えを感じつつも、新スイングを意識せず「無心で打てるようになるにはまだ長い道のり」と認識している。

パワー全開とはいかず、ある程度抑えながらドライバーを振っているのだろう。プレーヤーズ選手権では、「(出力を制限せず)リミッターを解消できるには、まだ時間がかかる」と話した。それでも最終日、アプローチをミスして池に入れダボとした直後の6番(537㍎、パー5)ではドライバーでほぼ完璧なショットを放ち、残り189㍎を8番アイアンで2.5㍍につけてイーグルを奪ってみせた。

同い年の松山英樹のマスターズ・トーナメント制覇には、勇気づけられたが「英樹ができるなら……と、僕自身は簡単に考えられない」と足元を見つめている。「自分なりの(メジャーへの)アプローチを冷静に判断して、焦らないでやり続けること」。来年以降の米ツアー再挑戦へ、地道な練習、実戦からのフィードバックを重ね新スイングを自分のものにするしかない。

プレーヤーズ選手権の惜敗は戦略ミスもあった。今年は開幕の東建から休みなく8試合が続く。「悔しいけれど、もっといいゴルフができると思っている。(6月上旬の)ツアー選手権まで一戦一戦がすごく楽しみ」。開幕4連戦を見る限り、ツアー通算18勝目、今季初Vも近いのではないだろうか。

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