鍵山「銀」宇野「銅」 羽生は4位「あれが僕の全て」

北京冬季五輪フィギュアスケート男子のフリーに臨んだ羽生結弦(ANA)は演技冒頭で、決まれば世界初となるクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑戦した。4回転半ジャンプと認定されたものの回転不足となり、着氷できずに転倒。続く4回転サルコーも失敗に終わった。その後は2度の4回転を含む5本のジャンプをきれいに成功。特に後半に跳んだ3本は高い出来栄え点を獲得した。スピンやステップも全て最高のレベル4をそろえたが、2度の転倒が響いてフリーの自己ベストに25点近く及ばない188.06点だった。
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4位に終わり、五輪3連覇の偉業は逃したものの「全部出し切ったというのが正直な気持ち。もうちょっとだったという気持ちもあるけど、でもあれが僕の全てかな。ある意味、あの前半の2つのミスがあってこその、(フリーのプログラムである)『天と地と』という物語ができあがっていたのかな」。前回五輪王者はやり遂げた様子で大会を振り返った。
銅メダルを獲得した宇野昌磨(トヨタ自動車)はジャンプで失敗が相次いだ。序盤の4回転サルコーが両脚の着氷になるミス。続く4回転フリップは転倒し、連続ジャンプにできなかった。終盤の3連続ジャンプも最後の1本が予定していた3回転でなく、1回転に。羽生のフリーの得点を僅かに下回る187.10点だった。「課題がみつかった感想はあるが、悔しいというよりも今はまず、3位という成績を出せたことをうれしく思う」と宇野。2大会連続でメダルをつかんだが「今できていることに満足せず、もっと新たな挑戦もしていきたい」と向上心を忘れていなかった。

銀メダルの鍵山優真(オリエンタルバイオ・星槎)は序盤の4回転ループが着氷で片手を突くミス。大きく減点されたが、その後のジャンプは失敗なしで跳びきった。ステップやスピンでも点の取りこぼしはなし。18歳らしい伸び伸びとした滑りで、芸術面を評価する演技構成点でも高得点を稼いだ。団体戦フリーで出した得点には7点及ばなかったが、五輪前の自己ベストを超える201.93点を記録した。初めての大舞台の締めくくりとなるフリー。「ここに来てから初めて緊張した」と臨んだが、崩れずにチャンスをものにした。「オリンピックを夢として頑張ってきた数年間の、全てが詰まった銀メダル。自分の成長を感じている」と喜びをかみしめた。

ネーサン・チェン(米国)は王者らしい圧巻の演技を見せた。5種類の4回転ジャンプに成功。特に難度の高い4回転ルッツは、ほぼ満点の出来栄え点を獲得する美しいジャンプだった。後半の3連続ジャンプでミスがあり、スピンでも僅かに点を取りこぼしたが、技術点は断トツ。リズミカルな音楽に乗った滑りで演技構成点でも1位だった。合計で2位鍵山に17点の大差をつける218.63点を出し、悲願の金メダルに輝いた。
フリーの得点ではチェンが1位、鍵山が2位、羽生が3位。グラスル(イタリア)が4位に食い込み、宇野は5位だった。
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