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W杯、クロアチアがブラジル破り4強 またもPK戦制す

ネイマールのゴールが106分(延長前半追加タイム)に決まったとき、世界中の誰もがブラジルの勝利を確信したのではないだろうか。ピッチ上のクロアチアの選手を除いて。残り15分、どこにそんなエネルギーを貯蔵していたのか。驚異に満ちたクロアチアの反撃が始まる。

ブラジルの戻りの遅さを突くようにモドリッチが短くつないでブラシッチがドリブルで持ち上がる。左を走るオルシッチにパス。慌ててゴール前を固めるブラジルDF陣を見透かすように、マイナスの折り返しが中央へ。そこにペトコビッチが待っていた。左足のシュートはマルキーニョスに当たってコースが変わり、名手アリソンの伸ばした右手の先を通り抜けた。時間は117分。

PK戦に突入すると、日本を沈めたリバコビッチの登場である。ブラジルの1番手は21歳のロドリゴ。見るからに荷が重そうで案の定、ドンピシャで止められた。

クロアチアのダリッチ監督いわく「最初のPKを止めたことが大きな自信と運を我々にもたらした」。先攻のクロアチアは4人全員が成功し、ブラジルは4人目のマルキーニョスがポストに当てて万事休す。クロアチアの3番手が大黒柱モドリッチだったことからすると、PK戦は奇数のキッカーが特に重要なのかもしれない。

この試合のリバコビッチは試合中も好セーブを連発、ネイマールに決められるまで1対1の場面をことごとく防いだ。日本戦の活躍で、いわゆる〝ゾーン〟に入ってしまったのか。再びのヒーローは「サポーターに感謝したい。最高に幸せだ」と興奮気味に語った。

2大会連続の4強にダリッチ監督も「先制されても復活し決して屈しないことを示せた。全員が偉大なファイターだ」と喜びをあらわにした。ゴールに絡んだのはモドリッチ以外は全員が交代選手。采配も当たったことが喜びを倍にした。

試合後の会見では延長戦の強さを探る質問が出た。ノックアウト方式が採用されるラウンド16以降の試合で、4年前のロシア大会からクロアチアは6戦し、敗れたのはロシア大会決勝のフランス戦だけ。残り5試合はすべて120分の延長を戦い、18年はデンマークとロシアにPK勝ち、準決勝でイングランドに競り勝った。そして今回は日本とブラジルにPK勝ち。もう「120の王」としか言いようがない。

ダリッチ監督は「強いキャラクターと決して諦めない精神」を語ったが、どんな強敵にも決して防戦一方にならないことも見逃せない。この試合もブラジルがボールを取りに圧を高めても、モドリッチを軸に巧妙に抜け道を探して前に運ぶことができた。

「パスをして試合をコントロールした。それほど多くの攻撃の機会を得たわけではないが、我々には十分だった。MFは我々のベストのパート」とダリッチ監督。クロアチアというチーム自体が何か大きな迷宮に見えてくる。

(アルラヤン=武智幸徳)

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