/

走る以外で走り矯正 ダンスに縄跳び、眠れる体が覚醒

小学3年の娘にバドミントンで打ち負かされてしまった

新型コロナウイルス禍で今年も海外レースへの出場は難しい。トレイルランニングの本場欧州では制限付きながら大会を開催する動きも出てきた。ワクチン接種の進み具合やスポーツ文化の違いなのか、日本ではなかなかランニング大会も開催できないので、うらやましい。

プロトレイルランナーとしての私の活動はおもに自己の極限への挑戦だ。たくさんの人々の支えがあって初めて成立する。海外に出て行ってまでの挑戦に共感を得られない現状では、国際大会への出場は諦めざるを得ない。これで2年にわたりアスリートとしての表現の場が失われる。正直、落胆は大きい。それでもスポーツへの逆風が吹く今は、それを声にするのもはばかられる。

昨年は「1年後に海外で活躍できるよう体をつくろう」と誓った。さすがに今年もその機会が失われるとなると、トレーニングにも身が入らず、トレーニングに何の意味があるのか疑問に思う日々が続いている。

身の入らないトレーニングを重ねていたせいだろう、ある日、これまでにないレベルでの体力の衰えに気が付いた。小学校3年生の娘の登校で一緒に歩くと、スピードについていけず、娘とバドミントンをすれば、体がシャトルをまったく追い切れずやりこめられてしまう。

これまでは毎日トレーニングを積んでいるアスリートなのだから、同年代の人々よりも体は動くはずだ、と自負していた。この1年で一気に老化が加速したようだ。明確な目標がないと人間は老いるのも早いという。還暦まで海外レースで活躍したいという夢に暗雲が垂れ込めてきた。

10年以上前の全盛期に、海外のトップ選手と一緒に合宿をしたことを思い出した。連日、日中はへとへとになるまで山を走り続けても、彼らは必ず夕方になるとバスケットやテニスに夢中になっていた。「そんなことをせず体を休め、翌日のトレーニングに備えた方がいい」。そう伝えると、「走ってばかりではそのうち走れなくなってくるぞ」と笑われた。まさに今の私がその状態だ。走ることは、単調で限定的な動きしかない。さまざまな動きを普段から積極的に取り入れていかないと、体力の衰えも早まるよということか!

そこでまずは走るフォームの矯正として、適切なフォームでキビキビと歩くことを心がけた。動画を見ながらのダンスメニューも始めた。これがなかなかハード。さらに娘となわとび、ケンケンで動き回るなど遊びのなかで多彩な動きを取り入れた。これらは自粛生活において家族で一緒に楽しめるという副次的なメリットもある。

娘とこうやって遊んでいると、長年使わずに眠っていた神経やら筋肉が覚醒されていくようで本当に心地いい。はたしてこれがあとあと競技ではっきりとした効果となって表れてくるかどうかはわからない。ただ新鮮な経験で気持ちは前向きになれる。

全国のランナーのみなさんも目前に大会がない今だからこそ、普段とは違う、走ること以外に目先を変えてみてはいかがでしょう。いずれ再開されるランニング大会で走るために。

(プロトレイルランナー)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン