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五輪代表は丸山か阿部か 13日、柔道で異例の一発勝負

丸山城志郎(ミキハウス)と阿部一二三(パーク24)の新旧世界王者による柔道男子66㌔級の東京五輪代表決定戦が13日、東京・講道館で行われる。ただ1枚の五輪切符を巡りしのぎを削ってきた両者は1試合限定の「ワンマッチ」という極めて異例の方式で決着の時を迎える。

決戦を前にした10日、両者は全日本柔道連盟を通じてコメントを発表。丸山は「強い気持ちで戦う姿をお伝えできたら」、阿部は「豪快な一本を取りにいく自分の柔道をして勝ちきる」と互いに決意をのぞかせた。

対戦成績は丸山の4勝3敗

2年前の夏、誰がここまでのデッドヒートを予想できただろう。東京五輪の星と呼び声が高かった阿部は2017年の世界選手権で海外の強豪に力の差を見せつける担ぎ技の連続で初優勝。18年大会も連覇し「阿部1強」時代を築き上げた。無人の野を行くような阿部に「待った」をかけたのが4年年長の丸山だった。

18年11月、グランドスラム(GS)大阪大会で阿部に勝利。この時点では「一矢報いた」との評価にとどまっていたが、半年後の全日本選抜体重別選手権で13分を超す激戦をものにすると、代表争いは風雲急を告げた。19年8月の世界選手権準決勝でも序盤に右膝を痛め、脚を引きずり加減となりながら、延長戦で浮き技で阿部の背中を畳につけて技あり。直接対決3連勝で初の世界王者にも就き、ついに立場を逆転させた。

ただ、新旧交代劇でドラマは終わらなかった。結果次第で丸山の代表内定が決定的だった同年11月のGS大阪大会では、阿部が「積み上げてきたものを簡単に崩させない」と踏ん張った。またも延長にもつれ込んだ7分27秒、支え釣り込み足で技ありを奪い、丸山がけがで欠場した20年2月のGSデュッセルドルフ大会も制すると、「並んだような状況」(井上康生男子代表監督)とてんびんは釣り合った。

 2019年11月、柔道GS大阪大会の男子66キロ級決勝で対戦する丸山城志郎(左)と阿部一二三=丸善インテックアリーナ大阪

2月までに柔道男女13階級で五輪代表が決まるなか、なお甲乙つけがたし、と66㌔級は唯一結論が持ち越され、最終選考の4月の選抜体重別は新型コロナウイルスの影響で延期に。決戦の場として指定された12月のGS東京大会も中止になり、一発勝負で勝った方が半ば自動的に代表に決まる史上例のない舞台が用意された。

過去の対戦成績は丸山の4勝3敗。うち6戦が延長戦にもつれ込んでいるが、ある柔道関係者は「早い勝負になる可能性もある」とみる。両者にとってコロナの感染拡大以降初となる実戦となるが、決勝戦まで見越して徐々にギアを上げる普段の大会のようにもいかない。無観客で息づかいまで会場内に伝わる異常な環境下で開始からフルパワーの出力を求められ、「どちらが普段通りの精神状態を保てるか。会場に入ってきた時の表情から注目だろう」(関係者)。少しでも浮足立てば、ともに必殺の決め手を持った相手の技で畳に沈む展開も考えられる。

「とんでもない経験値になる」

阿部の出方がカギとの見方もある。昨年の選抜体重別、世界選手権は序盤の攻勢を丸山がしのぎ、勢いに陰りの見えた阿部を捨て身技で仕留める似たような展開をたどった。一方で阿部が勝利したGS大阪大会で光ったのは「絶対に引かない」と話した阿部の積極性。「組み手の手順を守っていつも通りの戦いを心がけるだろう丸山に、阿部がどこまで圧力をかけられるか」とある関係者は話す。

世紀の一戦を他階級の世界王者たちも固唾をのんで見守る。73㌔級五輪代表の大野将平(旭化成)は「柔道家が誰も経験したことのない戦い。両選手の柔道人生でとんでもない経験値になる」と柔道家として羨望まじりに話す。「(2人とも)雰囲気が違う。オーラが出ている」とは両者の稽古に接した60㌔級代表の高藤直寿(パーク24)の感想だ。常に好勝負を期待され、その期待を上回る死闘を繰り広げてきた両者。抜きつ抜かれつの筋書きのないドラマの最終章の結末はいかに。

(西堀卓司)

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