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いまJ2が熱い J1昇格2枠、3チームで争う

サッカージャーナリスト 大住良之

首位に立つ徳島を勢いづかせた垣田(右から2人目)=共同

2月下旬から4カ月間もの中断をはさみながら、サッカーのJリーグはなんとか全日程を終えようとしている。

J1では、サガン鳥栖と柏レイソルで新型コロナウイルス感染の「クラスター」が発生して数週間試合ができなかった以外にも、アジア・チャンピオンズリーグに出場する3クラブの日程が2回にわたって変更されたことで日程が大幅に乱れたが、J2では2クラブで感染疑いや陽性者が出て2試合が延期になった以外はスケジュールどおりに日程が消化され、いよいよ残り3節となった。そして早々と川崎フロンターレの優勝が決まったJ1と違い、J2はまだ激しい争いが続いている。

Jリーグのなかでは最多の22クラブが参加するJ2。「J1昇格」が全クラブの目標だ。例年なら上位2クラブが「自動昇格」となり、3位から6位が「昇格プレーオフ」を経てJ1の16位と入れ替え戦を行うが、ことしは過密日程になり、日本代表の活動期間にもJ1の日程を入れたため、「不公平なリーグ」になることを考慮して降格なし。J2からは、1位、2位のみが自動昇格し、来年のJ1は20クラブで開催されることになった。

ことしのJ2は「西高東低」の観がある。リーグ前半戦では手倉森誠監督率いるV・ファーレン長崎が首位を突っ走った。圧倒的な強さというのではなく、1点差の勝利を積み重ねるという粘り強い戦いで、3シーズンぶりのJ1復帰への期待も高まった。

長崎は現在諫早市の「トランスコスモススタジアム長崎」(約2万人収容)を使用しているが、2024年竣工を目指して長崎市の中心部に新スタジアム(2万3000人)の計画が進んでいる。オーナー企業である「ジャパネットホールディングス」の支援によりJ2のクラブとしては豊富な資金力をバックに、J1に昇格し、定着して新スタジアムの完成を待つという形も見えてきていた。ところが9月に大失速。8戦して5分け3敗。1カ月間で勝ち点を5しか積み上げられず、あっという間に4位に後退した。

磐田-長崎戦で攻め込む長崎の選手(右)と阻もうとする磐田・遠藤=共同

代わって首位に立ったのがギラヴァンツ北九州。イタリア人を父にもつエースのディサロ燦(あきら)シルヴァーノが得点を量産し、第18節で愛媛FCを1-0で下して首位に立った。こちらは小倉駅前にミクニワールドスタジアム北九州(1万5300人)が完成した17年にJ3に降格してしまったが、昨年就任した小林伸二監督がJ3優勝に導き、J2に復帰して1年目である。

小林監督はこれまでに大分、山形、徳島、清水の4クラブをJ2からJ1に昇格させた「昇格請負人」。こんどはJ3から「三段跳び」のように北九州をJ1まで昇格させるのかと期待されたが、9月下旬から約1カ月の不調が響き、第39節終了時では5位。「三段跳び」の可能性は消えた。

そして代わって首位に立ったのが徳島ヴォルティスである。就任4シーズン目のリカルド・ロドリゲス監督(スペイン)の下、全員が激しく動き、速いテンポでパスをつなぐサッカーが完成、鹿島アントラーズが保有し、期限付き移籍で加わった23歳のFW垣田裕暉(過去3シーズンはJ2のツエーゲン金沢でプレー)が得点を重ね、チームを勢いづかせた。浦和レッズの来季監督候補とうわさされるロドリゲス監督は、DFラインには外国人選手を置いているが、攻撃陣は日本人選手だけ。切れ味鋭いドリブル突破を誇る西谷和希のパスから垣田が決めるという形ができている。

就任4季目の徳島・ロドリゲス監督。速いテンポでパスをつなぐサッカーを完成させた=共同

その徳島をかわして一時首位に立ったのが9月から10月にかけて12連勝を含む無敗記録(13勝2分け)をつくったアビスパ福岡。昨年まで同じJ2の水戸ホーリーホックを率いていた長谷部茂利監督が39試合でリーグ最少の29失点という堅固なチームをつくった。11月に失速して首位の座を徳島に明け渡したが、「昇格圏」の2位につけている。

第39節終了時の順位は、1位徳島(勝ち点80)、2位福岡(75)、3位長崎(73)。「残り4節」となった第38節終了時では3連勝の徳島が2位福岡に6勝ち点差をつけ、得失点差でも大きく引き離しているため、39節終了時にも優勝確定かと思われたが、その39節、徳島は攻勢をとりながらPKのチャンスに垣田が失敗、水戸に0-1で敗れた。

2位福岡も苦しんだ。後半立ち上がりまでに金沢に2点のリードを許し、敗色濃厚だったが、終盤に田辺草民と遠野大弥が連続得点、引き分けに持ち込んで勝ち点1を確保、首位との差を「5」に縮めた。

そして長崎は試合終盤に富樫敬真が決勝点を決めて1-0の勝利。一時は4位まで落ちていた長崎の復活は、10月末に横浜F・マリノスから期限付きで移ってきたブラジル人FWエジガルジュニオの活躍に負うところが大きい。10試合で5得点。この勝利で「昇格圏」の2位福岡に勝ち点2差まで迫り、最後まで粘り抜く姿勢だ。

4位ヴァンフォーレ甲府は1試合少ないものの(12月9日に愛媛戦を消化)勝ち点61で「2位以内」の可能性はなく、昇格争いは徳島、福岡、長崎の「西日本勢」3クラブに絞られた。徳島のJ1昇格の可能性は高いが、残り3節、優勝争いも2位争いも予断を許さない。最終節、12月20日の第42節には、福岡―徳島という対決も待っている。いま、国内サッカーでいちばん「熱い」のがJ2であるのは間違いない。

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