球団がビジネススクール 地元・横浜を魅力的な街に
横浜DeNAベイスターズ広報 小泉匡

日本野球機構(NPB)からの承認を得て新球団「横浜DeNAベイスターズ」が誕生してから、2021年11月末でちょうど10年がたちました。野球をきっかけとして横浜を盛り上げていきたい。そんな思いを実現すべく、これまでにコミュニティボールパーク化構想や球団と横浜スタジアムの経営の一体化など、ベイスターズではさまざまな施策を行ってきました。
横浜スポーツタウン構想もその一つです。スタジアムを拠点にファンの皆さま、地元の方々、企業、自治体などとの交流を深めていく。そしてスポーツの力で地元・横浜を一段とにぎわいのある魅力的な街とすることを目的としています。この構想の中核施設として、野球と他の分野との融合を図る「基地」となっているのが、横浜スタジアムの隣でベイスターズが直接運営している施設「THE BAYS」です。THE BAYSには日常使いできる雑貨や洋服を販売しているライフスタイルショップ「+B」や、会員制のシェアオフィス・コワーキングスペース「CREATIVE SPORTS LAB(CSL)」があります。
CSLが掲げるのが「Sports×Creative」です。さまざまな人、組織が集まり、情報を共有して交流することで、新たな産業を共創していくことを目的としています。そんなCSLで新たな取り組みとして今年10~11月にかけて開催したのが「横浜スポーツイノベーター創出に向けたビジネススクール」です。スポーツビジネスと街づくりをテーマとした全5回のプログラム。球団経営およびスポーツビジネスや街づくりの基本的な考え方を学び、世界各国や日本各地の事例を参考にしつつ、横浜という地域が抱える課題発見やその解決を目指しました。
この企画を手掛けたのが広報・コミュニケーション部の矢野沙織です。矢野はスポーツを軸とした街づくりに興味を持ち、人材派遣紹介会社からベイスターズに転職してきました。現在はCSLの企画、運営の担当をしています。
矢野「横浜スポーツタウン構想を基に、過去にはスポーツアクセラレーター(起業支援)施策でベンチャー企業と手を組んで事業企画書を作成したり、小さなイベントを複数回開催して街づくりのアイデアを考えたりしてきました。しかし、その場限りで終わってしまうことが多く、参加者とベイスターズ、そして横浜という街とのつながりを持てていないと感じていました。スポーツビジネスとまちづくりに興味がある人との継続的な学びの時間を作り、次のスポーツ産業を一緒に生みだしたいと考えてビジネススクールを企画しました」

矢野「ベイスターズとして初めての挑戦だったので、ビジネススクールの目的や最終的なゴールを皆さんに理解してもらうためにはどういうプログラムがいいのか一から考えましたし、プログラムの質が参加者の皆さんの期待に応えられているのか常に自問自答していました。大まかな内容を決めた後は、登壇するゲストの方々に話してもらう内容、そしてそれを聴講した参加者がどんな学びを得られるのかを考えました。細部までこだわって一つ一つのプログラムを作り上げました。うれしいことに想定以上の参加応募があり、最終的には全員と面談をさせていただいて一緒にビジネススクールを作り上げていく32人を選びました。やる気のある方々ばかりだったため、選考をしなければいけないことが一番つらかったですね」

矢野「横浜という街の特徴を捉え、資源の活用方法を模索し、課題設定から解決策まで考えてもらうことができました。ベイスターズという枠を超えて、それぞれに横浜を自分の街と捉えてもらえたと感じています。毎回アンケートを実施してそれを次回のプログラムに反映させたことが、満足度が高まった要因だと考えています。一番うれしかったのは参加者同士が自発的にコミュニケーションをとって仲良くなってくれたことです。今後は第1回の参加者と第2回の参加者との交流の場をつくるなど、参加者同士が実際に新たなビジネスを生み出せる環境を提供していきたいです」
ベイスターズはプロ野球の球団ですが、その事業領域は野球興行にとどまりません。どうすれば横浜の街に人が集まり、今よりももっとにぎわいが増していくのか。今回ご紹介したビジネススクールは一例ですが、スポーツの力を核とした魅力的な街づくりにこれからも積極的に関わっていきます。