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昭和の面影残る湾岸・辰巳、装い新たな「水の聖地」へ

オリパラの舞台を歩く

昭和の面影が色濃い辰巳地区。東京辰巳国際水泳場(右上)に加え、新たに東京アクアティクスセンター(左上)が整備され、東京五輪・パラリンピックでは「水のスポーツの聖地」として注目される

東京五輪・パラリンピックの競技会場が集中するベイエリアは、東京都が一大スポーツ拠点と位置付ける。昭和の初めに埋め立てられた辰巳地区にはこれまで日本の水泳競技の中心施設だった東京辰巳国際水泳場に加え、新たに東京アクアティクスセンターが整備された。周囲には昭和の面影を色濃く残す都営団地や緑豊かな公園がある。近隣住民らに親しまれる同地区は、装い新たな「水のスポーツの聖地」として注目されている。

東京五輪の水球会場となる辰巳水泳場。大会後はフィギュアスケートなどのアイスリンクに改修される

地下鉄有楽町線の辰巳駅は都心から10分圏内。南側の2番出口から外に出ると辰巳の森緑道公園が広がる。桜並木沿いに東へ向かうと、水鳥が水辺から飛び立つ姿をイメージしたデザインの東京辰巳国際水泳場が見えてくる。1964年東京五輪で水泳会場だった国立代々木競技場(代々木オリンピックプール)に代わる水泳競技場として93年8月にオープンした。今夏の東京五輪では水球の会場として利用される予定。大会後はフィギュアスケートなどができるアイスリンクに改修する。

アクアティクスセンターは辰巳の森海浜公園内にある。大会後は近隣住民らに親しまれる同公園とともにスポーツ愛好者の健康増進に取り組むことができる水泳場をめざす

辰巳水泳場から徒歩数分の場所にあるのが東京アクアティクスセンターだ。辰巳水泳場の客席数(通常3600席)が少ないため新たに整備され、2020年2月に完成した。東京五輪・パラでは競泳や飛び込み、アーティスティックスイミング、パラ水泳の会場となる。大会時の客席は1万5000席で、終了後は5000席に減らす予定。メインプール、サブプールとも床と壁が可動式となっており、それぞれ2面の25メートルプールに分けて短水路大会を開くことができるほか、深さを調整することで子どもから高齢者まで幅広い世代の利用に対応する。

アクアティクスセンターは辰巳の森海浜公園内にある。ラグビー練習場や芝生の多目的広場のほか、パターゴルフ、グラウンドゴルフ、フリーテニスなど様々なスポーツができる公園だ。滑り台やブランコなどの遊具もあり、休日には多くの家族連れらでにぎわう。

家族でお弁当を広げる会社員の須藤駿さんは初めて訪れた。豊洲の自宅から歩いて来たという。コロナ下の五輪については「無理することはないと思う半面、開催されたら世界が盛り上がる空気を身近に味わえる。気持ち的に(開催の賛否は)半分半分」と話す。犬の散歩をしていた60代の女性は「開催できたとしてもたぶん無観客でしょうね。選手がかわいそう」と言う。

海浜公園から首都高速道路をまたいだ西側には、湾岸に多い高層マンション街とはイメージの異なるレトロな団地が広がる。1967年度から69年度にかけ建設された都営辰巳一丁目団地(都営辰巳団地)で、ユニークな意匠の給水塔が現在も異彩を放つ。都内でも有数のマンモス団地だが、老朽化により建て替え工事が進んでいる。

休日の海浜公園は近隣の東雲や豊洲、潮見地区から家族連れらが訪れ、にぎわう。五輪・パラの準備により、グラウンドゴルフなどの利用は大会終了まで中断している

辰巳団地自治会の中野幸則会長はアクアティクスセンターについて「五輪のためにつくった施設は有効に使って楽しめるものにしてほしい」と冷静に見つめる。その上で「施設がきっかけで海浜公園にトイレや遊具が整備されるのは悪いことではないが、かつて子どもたちが水遊びできたような仕掛けが今は見られない」と指摘する。

辰巳駅近くの辰巳桜橋を西に渡るとタワーマンションが立ち並ぶ東雲地区になる。東雲のマンションも辰巳団地も、辰巳駅から徒歩10分以内。海浜公園は現在、五輪・パラの準備のため半分ほどが利用できなくなっているが、大会後はアクアティクスセンターを中心として新旧住民の憩いの場となりそうだ。

(神林範亮、冨田龍一)

地下鉄有楽町線の辰巳駅近くにある辰巳桜橋を渡ると東雲地区の高層マンション街が広がる。レトロな雰囲気の辰巳地区とは好対照な印象を与える
ユニークな意匠で存在感を放つ都営辰巳団地の給水塔
Tokyo Olympic and Paralympic 特設サイトはこちら

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