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将来楽しみ、センスの中日・根尾と馬力の阪神・佐藤輝

4日のDeNA戦でプロ初本塁打となる満塁本塁打を放った根尾=共同

5月4日のDeNA戦で中日の根尾昂がプロ1号の満塁本塁打を放った。鳴り物入りで入団して3年目。開幕から試合にほぼ出続け、1軍のスピードや雰囲気に少しずつ慣れてきている。将来はチームの看板と期待される若手の第一歩はOBとしても喜ばしい。

ほとんどの若手は直球は打ててもプロの変化球に対応できないものだが、根尾は反対だ。非凡なセンスで変化球にはそれなりについていけるが、まだ線が細く、直球に力負けしてしまう。プロ1号はそれほど球が速くない大貫晋一だったから打てたという面もある。

プロ野球は実力の世界だが、実力だけの世界ではない。客観的にみて、打率1割台の根尾はドラフト1位の特権で試合に出られている。純粋な実力では阪神から戻ってきたベテランの福留孝介に及ばないし、同じ若手でも1年後輩の岡林勇希は2軍で根尾以上に結果を出している。それでもファンは根尾を見たがる。少し打てばマスコミも大騒ぎする。期待込みで使われているのだ。

根尾の課題ははっきりしている。馬力が足りず、球威のある投手に対し、準備が整わないまま打ちにいってしまう。必要なのはテークバックをとり、トップの形をしっかりつくってから打ちにいける体の強さと技術を身につけること。1軍は育成の場ではない。特別待遇に甘えず、打撃の形を固めて2割5分以上の打率と勝負どころでの活躍を期待したい。

一方、「即戦力」の前評判を上回るほどの力を見せているのが近大から阪神に入団した佐藤輝明である。7日のDeNA戦では登録抹消された大山悠輔の代わりに4番に座って本塁打を放ち、ドラフト制導入後最速となる33試合目で10号に到達した。最終的に20本以上は打つだろうし、30本以上の可能性も感じさせる。

7日のDeNA戦で10号本塁打を放った佐藤=共同

オープン戦でも活躍した佐藤だが、開幕直後はインコースを速球でガンガン攻められ、調子を崩していた。具体的には捕手寄りの軸足に体重を乗せて球を待つ形が取れず、タメがなくなっていたのだが、慣れるにつれて克服しつつある。根尾との差は馬力だ。体が大きく、パワーがあるから、ポイントを後ろにしても球威に負けない。これは多分に生まれ持ったものだ。これから経験を重ね、さらに大きく育っていくのだろう。

大型新人ということでは、楽天に入ってきた頃の田中将大もそうだった。技術的には未熟でプロの壁に当たったが、みるみるうちに成長し、1年目から2桁勝利を挙げた。彼も人並み外れて大きなエンジンを持っていた。今年から1軍で本格的に投げ始めている高卒2年目のヤクルト・奥川恭伸あたりと比べても、田中はさらにスケールが大きかった。

大きなエンジンは両親に感謝すべき特権だ。しかしエンジンの大小だけで勝負が決まるわけではないから野球は面白い。エンジンの差を技術や足回りでカバーすることができるのは、僕が好きなカーレースとも共通するものがある。

(野球評論家)

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