/

僕は何で勝負するのか 考え抜くという個の力

もう少し、足が速かったら。相手DFをはがし、仕掛けてシュートを打てれば……。もっと、もっとと感じながら、毎日を過ごしている。今に始まったことじゃないけれど。

持ち合わせていない能力を埋める努力をしながら、所属チームの状況や戦術の中で自分にできることは何か、何をすればチームに貢献できるのかを模索し続けてきた。時には不本意なポジションで起用されることもある。守備に奔走するだけで試合が終わることもあった。でも託された仕事をまっとうするだけでは、生き残れない。

僕は日本人だ。その国の選手と同じ仕事しかできないなら、あえて外国人選手の僕を起用する必要はない。そういう危機感をずっと持っている。いつか僕もチームの柱になれるんだと闘ってきたが、10年経っても似たような壁にぶつかる。今、新しい環境でもそれを味わっている。

FCカルタヘナはスペイン2部リーグの中位に位置するクラブだ。うちのチームに限らず、2部には戦術的にも技術的にも平均的な能力を持った選手やチームがそろう。

そういう中で、僕が求められているのは個の力なんだと痛感している。献身的な守備や豊富な運動量だけでは他の選手と変わらない。ボールを収めてキープするとか、ポストプレーへの評価は高くない。その先のプレーが求められる。相手の組織を破壊するような個の力だ。

監督が描く絵に選手を当てはめていくようなサッカーが主流となり、戦術、組織に重きを置くようになれば、逆により個の力が求められると感じている。代役がいない存在にならなくてはいけないからだ。

もちろん指揮官の描く絵を表現する戦術理解力は重要だし、ずば抜けてその能力にたけていれば、それもまた個の力になるだろう。個の力といえば、身体能力をイメージする人も多いだろうが、それだけではない。

僕は子供の頃に徹底的にダイビングヘッドを鍛えた。結局それは僕の強みになり、よりどころになった。そういう何で勝負するかという強いものがないと、海外では生き残れない。

だから、海外でプレーすることを夢見る子供たちには、自分の長所を伸ばせる環境で育ってほしいと思う。戦術やシステムの中で個の力を身につける前に、自分が楽しくて、やりたいことを伸ばしていける少年時代に、どれだけ個性を伸ばせるかが実は大事じゃないかと今は思う。

もう少し足が速ければゴールがもっと取れたと思うけれど、足りない部分をいかに埋めるかを考え抜けるのは、僕の個の力なのかもしれない。

もうそれほど先はないからこそ、自分にしかできないやり方で結果を残す。僕のキャリアが次の世代のヒントになるように。

(カルタヘナ所属)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

関連キーワード

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン