「見返す」という気持ち 欧州でプレーする僕を支える 満身創意(岡崎慎司) - 日本経済新聞
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「見返す」という気持ち 欧州でプレーする僕を支える

欧州サッカーの新シーズンが続々とスタートしている。

今季は11月から12月にかけてワールドカップ(W杯)により中断期間が入るため、シーズンオフが短かった。それが理由なのかどうかは分からないが、移籍市場の動きは鈍く、僕の移籍先もまだ決まらない。年齢は30代半ば、昨季は芳しい記録を残せなかった選手にクラブが関心を寄せるのは、マーケットが閉じる直前になるのは理解できるけれど。

僕にとって今回の移籍はW杯カタール大会のメンバーに選ばれる上で重要な決断になる。主要リーグのできるだけ上のカテゴリーに属し、結果を残す。それができれば、W杯出場の可能性はある。今もなお、そう思っている。

「無理でしょ」という声は耳に入るし、そういう意見を否定するつもりはない。同様に諦めるつもりもまったくない。日本代表FW陣の激烈な競争の渦中に僕も身を投じたいと考えている。

4年前のW杯ロシア大会最終戦後、長谷部誠さんや本田圭佑、酒井高徳が「代表引退」を口にした。僕は「次も目指します」と即座に決意表明した。故障明けの状態で選んでもらったにもかかわらず、大会前に再び負傷し、まったく期待に応えられなかった。当時は悔しさが強かったが、それからの僕にとってカタールのW杯は大きなモチベーションになった。

2019年に英プレミアリーグ、レスターとの契約が満了し、スペイン2部のウエスカに渡った。1年目で優勝と昇格を果たし、目標だったスペイン1部でプレーする機会を得た。21年は2部に舞い戻ったが、スペインでは良い思い出がたくさんある。カルタヘナで当時40歳のストライカー、ルベン・カストロと出会い、「40歳まで欧州でプレーする」という新しい目標を立てられたこともその一つ。

それは日本代表としてW杯をアジア予選から戦った過去の3大会とは、少し違うエネルギーだったように思う。

これまでW杯に3回出場したが、活躍できたかというと、そうでもない。日本代表の勝利のために力を尽くせたかと問われれば、満足できるものではない。だからもう一度、W杯の舞台で自分の力を証明したい。「見返してやる」という気持ちは日々募っていて、それを果たせるのはW杯という舞台だけだ。

「見返す」という気持ちは欧州でプレーする僕を常に奮い立たせてきた。欧州でプレーすることに今もこだわっているのは、この場所から離れたら誰も見返すことはできないからだ。

チームに即合流し、すぐに仕事ができるように今も準備を続けている。9月1日の移籍期限が近づくにつれ、焦りは生まれてくるのかもしれないが、選択を最善なものにするよう努めるしかない。

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満身創意(岡崎慎司)

サッカー元日本代表、岡崎慎司選手の連載です。FCカルタヘナでのこと、日本代表への思い、サッカー選手として日々感じていることを綴ったコラムです。

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