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クラシック勝つなら秋デビュー馬か 新トレンドは夏?

夏場の2歳新馬戦で強烈な印象を残して制し、「間違いなくクラシックを勝つ馬だ!」と思ったら……。秋以降に次々に強い馬が現れ、3歳クラシックの時期には脇役以下の存在になり、「何だったんだ」という思いを抱く。20年以上、競馬を見ていると、こんな経験をされた方が少なくないのではないか。

クラシック級の新馬といえば、秋の東京や京都のレースでデビューした例が多い。かといって、夏の新潟、小倉、北海道などのデビュー馬がクラシックに直結しないわけでもない。

年明けデビューは晩成型

3歳クラシックレースは、牡馬が皐月賞、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞の3競走(牝馬も出走できる)、牝馬は桜花賞、優駿牝馬(オークス)の2競走の計5競走である。牝馬三冠最終戦といわれるエリザベス女王杯や現在の秋華賞はクラシックとは扱われない。クラシック5競走の1991年以降の優勝馬のデビュー・初勝利日を、夏(現在の6月から9月1週目まで)、秋(現在の9月2週目から年末まで)、年明け以降と、大きく3つに区分して分析してみた。

年明けデビュー馬は19頭がクラシックを制した。春のクラシックには間に合わなかったか、出走できても力を出し切れず、GⅠ初制覇が菊花賞となった例が多い。1995年マヤノトップガン(1月8日京都、初勝利は3月25日京都)、2001年マンハッタンカフェ(1月29日東京、初勝利は2月11日東京)、06年ソングオブウインド(1月29日京都、初勝利は4月9日中山)、08年オウケンブルースリ(4月26日福島、初勝利は6月8日中京)、14年トーホウジャッカル(5月31日京都、初勝利は7月12日中京)、15年キタサンブラック(1月31日東京で初戦勝ち)、18年フィエールマン(1月28日東京で初戦勝ち)と7頭を数える。

これに対し、1993年の二冠牝馬ベガ(1月9日京都、初勝利1月24日京都)や、98年に皐月賞、菊花賞の二冠を制したセイウンスカイ(1月5日中山で初戦勝ち)、デビュー3戦目で96年のダービーを制し、史上最少キャリアタイの記録を持つフサイチコンコルド(1月5日京都で初戦勝ち)など、早々にクラシックのタイトルを手にしたケースもあり、いかに大変な偉業を達成したかも分かる。

安定して強い秋デビュー組

秋競馬のデビュー組は過去30年の66頭がクラシックを勝っている。今年上半期までに154レースが行われたが、二冠、三冠馬も含まれるため、実際は半数近くを占める。代表的な馬としては、05年の三冠馬ディープインパクト(12月19日阪神)と20年三冠のコントレイル(9月15日阪神)、91年の皐月賞とダービーを制したトウカイテイオー(12月1日中京)、92年二冠のミホノブルボン(9月7日中京)、97年二冠のサニーブライアン(10月5日東京)、03年二冠のネオユニヴァース(11月9日京都)で、全て初戦を勝っている。このほか、15年に皐月賞、ダービーを制したドゥラメンテ(10月12日東京、初勝利は11月8日東京)、そして00年の皐月賞と菊花賞を勝ったエアシャカール(10月31日東京、初勝利は11月21日京都)がいる。

牝馬では03年三冠のスティルインラブ(11月30日阪神で初戦勝ち)、09年ブエナビスタ(10月26日京都、初勝利は11月15日京都)、12年ジェンティルドンナ(11月19日京都、初勝利は12月10日阪神)、20年デアリングタクト(11月16日京都で初戦勝ち)が含まれており、二冠・三冠の出現率も高い。

秋デビュー組が1頭もクラシックを制覇しなかった年はなかった。90年代後半は秋デビュー組のクラシック制覇が多く、03~05年は全ての勝ち馬が秋デビューだった。波はあるものの、現在までその傾向は続く。今年のダービー馬シャフリヤールも20年10月25日に京都で新馬戦を勝った。

夏競馬デビュー組は43頭(地方競馬デビューは除く)。うち、夏にデビュー勝ちした馬のクラシック制覇は現在まで同一年に3頭が最多で、90年代は、92年の菊花賞馬ライスシャワー(8月10日新潟)、桜花賞馬ニシノフラワー(7月7日札幌)、オークス馬アドラーブル(7月13日新潟)の1回だけである。そこから18年までは0~2頭が続いた。

夏の新馬戦は19年以降、傾向に変化が

夏にデビューして初勝利は秋以降というケースが、43頭中12頭を数える。一概には言えないが、夏に実戦を1度経験させておき、秋に再起動させる使い方が主流だったのかもしれない。10年の三冠牝馬アパパネは7月5日に福島の新馬戦で3着の後、間隔をあけて10月31日の東京で未勝利戦を勝った。このほか、皐月賞馬では93年のナリタタイシンや16年のディーマジェスティ、ダービー馬では02年のタニノギムレット、10年のエイシンフラッシュ、14年ワンアンドオンリーが同じパターン。なお、国内外GⅠ9勝の最多記録を持つアーモンドアイも、17年8月6日に新潟の新馬戦で2着後、10月8日に東京で初勝利をあげた。

19年、皐月賞馬サートゥルナーリア(6月10日阪神)、ダービー馬ロジャーバローズ(8月18日新潟)、桜花賞馬グランアレグリア(6月3日東京)と、夏に初戦を勝ったクラシック馬3頭が出た。20年の牡牝の三冠馬は秋デビューだったが、21年は皐月賞馬エフフォーリア(8月23日札幌)、桜花賞馬ソダシ(7月12日函館)、オークス馬ユーバーレーベン(6月14日東京)と既に3頭。果たして菊花賞はどうなるか。

最近は牧場の育成技術が向上し、長期休養明けでも結果を出す馬が多い。トライアルを使わずにGⅠを制覇するシーンも珍しくなくなった。早い段階の新馬戦でも勝負できる段階まで仕上げ、結果を残し、また間隔をあけて大レースに照準を合わせられるのだろう。競馬全体の潮流の変化が、夏の新馬戦のレベルにも表れているのかもしれない。果たして「夏の新馬勝ち馬のクラシック制覇」がトレンドと言えるのか、偶然なのか、今後数年を見極めていきたい。

(ラジオNIKKEIアナウンサー 米田元気)

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