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日本8強ならず 互角の120分、PK戦で散る

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4度目の挑戦で、またしても阻まれた8強への道。2002年日韓大会以来、20年にわたって壁を破れない現実に合理的な理由を求めるのは簡単ではないが、クロアチアに勝てなかった原因は明瞭だ。後半途中から徐々に前へボールを運べなくなり勝ち越しゴールを奪えなかったことと、もちろんPK戦での優劣だ。

後者について、森保監督は「運」と「訓練」の両方を指摘する。「育成年代から、ボールを強く狙ったところに決めていくということに関しては差があるなと感じてきた」。蹴る方向を読まれても決めきる強いキックを、ゴールの隅へたたき込めるかどうか。相手GKの素晴らしいセーブと運だけでなく、残念ながらそこが日本には欠けていた。

試合終盤にかけて日本の推進力が落ちたのは、クロアチアのシンプルながら力強いロングボール攻撃がボディーブローのように効いたからだろう。日本の3バックの外側のスペースを巧みに突いて187センチのペリシッチ、193センチのペトコビッチらを的にする力攻めは後半に拍車がかかり、「疲れもあってギアを上げきれなかった」(堂安)。

その結果、孤立した前線の浅野がボールを収められず、奪われて再び守備に走らされる連鎖に。時折巡ってきた速攻でも人とボールをスムーズにつなげなかった。「自分のサッカーの下手さ、未熟さを大きな舞台で思い知らされた」と浅野はうつむくが、ドイツ戦の決勝点のように相手の虚を突く速さが本来の持ち味。待ち構えるDFとの肉弾戦は分が悪かった。

ただし、それらを「敗因」と呼ぶのは酷だろう。PK戦まで至った試合が記録上は引き分けとなるだけでなく、120分間を通して「クロアチアと対等にやれた」(遠藤)という実感に偽りはないからだ。危険を察知して先回りする遠藤のボール奪取力はこの日も輝き、司令塔モドリッチには延長前半に退くまでついに決定的な仕事を許さなかった。

主将の吉田は「ドン引きで守り切るようなサッカーをしたわけではない。こういう形が強豪相手にも出していけるのは今後の明るい材料」と胸を張る。ドイツ、スペイン戦のような割り切った守備的戦術ではなく、パスワークで攻め込む場面も創出。堂安の鋭く落ちるキックを生かした先制のセットプレーはデザイン通りで、鮮やかな手並みだった。

結果は過去と同じ16強でも、ドイツとスペインを破り、クロアチアと真っ向勝負を演じた戦いぶりは世界にインパクトを与え、日本の序列をアップデートしたはず。足踏みではなく、日本サッカーは確かに前進しているのだと証明する激闘だった。

(アルワクラ=本池英人)

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