三笘薫、好機演出もPK戦決められず 「次のW杯こそ」

勝負どころで投じられた切り札に、日本の勝ち越し点は委ねられた。64分、三笘薫が満を持して左サイドに送り出される。1-1の膠着状態。ワールドカップ(W杯)の強敵を何度も切り裂いてきたその突破に、日本は16強越えの夢を託した。
延長戦の105分。ボールを引き取った三笘が左サイドを駆け上がる。縦をちらつかせながら内へ入り込むコース取りが見事で、あっというまにゴールへ迫った。勢いのままシュート。うなる弾丸は惜しくもGKリバコビッチにはじかれた。
ただ、クロアチアは日本の矛をよく研究し、三笘のサイドにDFを厚く配置するなど突破封じを施していた。三笘が加速しながら勝負できる場面を簡単にはつくらせない。クロアチアの面々が想像以上にタフで足が止まらなかったことも、三笘が左サイドを切り崩しにくかった要因かもしれない。
PK戦では2番手を務めた。左へ蹴ったキックはややコースが甘く、リバコビッチに防がれた。口を覆いながら仲間の成功を祈ったが、かなわなかった。「試合を通して、全部が足りなかったのだと思う。次のW杯で勝てるように……やるしかないと……思います」。振り返る言葉が、涙で詰まる。

ライン際のボールを「1ミリ」の差で生かし、日本をスペイン撃破へと導いた三笘に、PK戦でキックをボール数個分狂わせたものは何だったのだろう。その答えをこれから4年間で見つけていくのだろう。
スペインの名だたるDFもぶっちぎった。W杯でこれほど痛快にゴールに迫り、得点を期待させた日本人アタッカーはそう多くない。ドーハの夜に「ミトマ」の余韻を残し、初めてのW杯から去る。
(岸名章友)
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