/

盛田正明氏×伊達公子さん テニスを語る㊦

「正解」よりも考える力を養う

伊達さんがジュニアを教える際、打ち合うより、話を聞く時間が長い時もある

高校まで部活で育ち、留学経験もなく世界に飛び出して、1990年代にテニスの世界ランキング4位まで上りつめた伊達公子さん。盛田正明・日本テニス協会名誉顧問は「僕のセオリーに当てはまらない人」という。しかし、話すうちに伊達さんの選択が盛田理論と重なってきた。

「僕はね、ずっと同じコーチについているのはダメだと思っている。小学校では小学校の、中学では中学の、高校では高校のいい先生に習わないといけないのに、日本はコーチがいい(選手)と思うとずっと離さない。小学校の先生が大学生まで抱えている感じ。あれじゃ強くならないなって」と盛田さん。IMGアカデミー(米フロリダ州)は錦織圭(日清食品)の成長に合わせてコーチを変更、そのたびに錦織は飛躍した。

「指導者に恵まれた」という伊達さんは園田学園の光国彰コーチ、小浦猛(武)志・元フェド杯監督と高校時代から複数のコーチについた。プロ転向後もその時の自分に必要な指導者に適宜ついている。「自分でコーチをお代えになったでしょ。そんな人いません。普通は誰かが代えてあげないと」と盛田さんは笑う。

生存本能がそうさせたのだろう。「コートではいろんなことを考えては決断の連続。技術があってボールを強く、うまく打てるだけで活躍できる場所でない。世界でもまれる中、自分の存在価値を確立するために、自分の意見を口にするようになった」と伊達さん。ジュニアを育てる際も根気強く選手に考え、行動させる。「日本の教育は正解を求めがち。正解がどうこうでなく、自分で考え、行動させる大切さを周囲の大人が理解しないと」という。

それが容易でないから、盛田さんは海外に選手を送った。「選手のいいところを生かし、伸ばすのがうまいですからね。錦織が注目された頃、日本のテニススクールを視察したら、みんな錦織のフォームで打っているから心配になっちゃった」

「日本のコーチはフォームから入ることがとても多い。『どう打つか』にこだわりすぎ」。そう話す伊達さんはライジングという独特のタイミングで打つスタイルを確立した。だからこそ、165センチ足らずの細身でもトップ10内に駆け上がることができた。

今は「チームなおみ」といった、複数の人で選手を支える体制が普通になってきた。「スポンサーがつく、相当強い人の話。大半の選手はプロになりたての大事な時期にサポートがない。そこをどうするか考えないと」と盛田さん。サポートする人材をどう増やすか。「仕事に魅力がないと続かない。自分が関係した選手が伸びるといった成功例をつくることが大事。やってみたい人が増えてくる」。盛田ファンド、伊達さんのプロジェクトもそんな未来への一歩なのだ。(原真子)

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン