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盛田正明氏×伊達公子さん テニスを語る㊥

世界と戦う力 海外でこそ身につく

「盛田ファンド」の支援で望月は13歳から米国に留学した=ゲッティ共同

伊達公子さんは2019年からテニスの女子ジュニアの育成に乗り出した。遡ること約20年、盛田正明・日本テニス協会名誉顧問はジュニアを対象にした「盛田ファンド」を設立。錦織圭(日清食品)、西岡良仁(ミキハウス)、内山靖崇(積水化学)ら、日本男子の壁となっていた世界トップ100に入る選手を輩出した。

「選手選考のポイントは何ですか」と伊達さんが尋ねたところ、「私はわからない。仕組みをつくっただけで、選考は坂井利郎(日本協会副会長)、丸山薫(元日本代表コーチ)らが全国を回って、これぞという子を見つけ、最後はIMGアカデミー(米フロリダ州)のコーチが来日して決める」。ちなみに錦織は3人選ばれた年の3番目だったそう。非常に器用だったが、3人で試合をしたら必ずしも1番ではなかった。

伊達さんは海外遠征に行くと、必ず外国選手と練習した。「アジア人はパワー負けするから、外国選手と練習する機会を持った方がいいのに、日本選手は日本人同士で練習するケースが多い。今も、です。相手が見つからないときはともかく、わざわざ海外に行ってどうして?と思う」。盛田さんも同感で、だからこそ海外に慣れざるを得ない状況に追い込むため、育成の舞台を海外に求めた。

盛田さんいわく「テニスほど厳しいスポーツはない」。試合開始時間が読めず、5セットマッチでは4~5時間、たった一人で戦うことも。試合中、コーチとの会話は禁止で、合図の交換も違反だ。「非常に孤独。技術がいいだけじゃ勝てない」。それなのに日本人は同郷の人と群れておとなしくしている。ソニー時代から何十年と四大大会を観戦してきた盛田さんには、試合以前にメンタルで負けているように映った。

男子テニスのATPカップに挑む錦織圭(左から2人目)、西岡良仁(同3人目)ら日本チーム。ともに「盛田ファンド」で育った選手だ(大会主催者提供)

盛田ファンドが始まって最初の3年は、米国でただ練習させていた。「うまくいかなくて、厳しいことを言わないといい選手が出ないと思って」。高いハードルを5つ提示し、2つ以上クリアしたらサポート続行。そうでない場合、帰国とした。これまで28選手を送り、18歳まで残ったのは錦織、西岡、内山、中川直樹(橋本総業)だけ。今年、望月慎太郎が加わる。

世界トップ100(女子は世界50)に入ってから5年、賞金の10%をファンドに寄付してもらう。既に3選手がその対象になっている。

「好きなテニスで人のしないことしようって、70歳のじいさんが考えた発想(盛田ファンド)」はかなり当たっていた。「こうした方がいい」というセオリーも見つけたが、1人だけ例外がいる。「伊達さんですよ。全く私のセオリーにはまらない。どうやってあなたみたいな人は生まれたの?」と、盛田さんは不思議そうに話す。(原真子)

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