/

田中将の楽天復帰、くすぶる同学年・斎藤の奮起呼ぶか

スポーツライター 浜田昭八

今季から古巣楽天に復帰し、練習試合で登板する田中将=共同

収入も立場も激変した同級生と、同窓会で久しぶりに再会したような感じだろうか。マー君こと楽天・田中将大と、ハンカチ王子こと日本ハム・斎藤佑樹の両投手である。二人は2006年夏、高校野球の甲子園大会で球史に残る激闘を展開した。高校を出たあと、それぞれに違う進路を選んだが、このほどまた同じ日本プロ野球(NPB)の舞台で競うことになった。

田中は07年、駒大苫小牧高からドラフト1位で楽天入り。7シーズンで99勝を挙げた。14年にポスティングシステム(入札制)で米大リーグ(MLB)のヤンキースへ移籍。ここでも7シーズンで78勝をマークした。MLBで続投するつもりだったが、コロナ騒ぎで米球界が混乱。やむを得ず帰国し、古巣楽天へ復帰した。

田中将大はヤンキース在籍7年間で78勝をマークした=AP共同

一方の斎藤は早実高から早大へ進学。1年春のシーズンの開幕投手に選ばれるなど大活躍。東京六大学リーグ通算31勝を挙げ、11年にドラフト1位で日本ハム入りした。1年目6勝、2年目5勝と、ゆっくりペースを上げていくかに見えた。だが、右肩を痛めて3年目の13年から低迷。この年から8シーズンで4勝しただけだ。直近の白星は17年5月31日、セ・パ交流戦でのDeNA戦。昨季は1軍戦未登板だった。

甲子園大会での二人は実力、人気ともに肩を並べていた。ただ、今も語り草になっている06年夏の甲子園大会の結果で、斎藤がやや上位に立った。優勝戦で顔を合わせた早実―駒大苫小牧は1-1で延長戦に突入。両校とも決勝点を奪えず、規定により十五回で引き分けた。翌日の再試合で早実が4-3で勝って優勝した。両試合でともにロングリリーフだった田中に対し、斎藤は2試合ともに完投。連投で合わせて24イニング、296球の力投の仕上げが打者田中から奪う三振だったのも、栄冠に花を添えた。

それでも、プロのスカウトら関係者の評価は違った。この大会での田中は南北海道大会の疲れが残り、本調子ではなかった。だが「伸びしろ」はたっぷり残されていると見られた。これに対し斎藤はクレバーでスタミナもあるが、プロの長期シーズンを戦うには、やや体力不足と見られた。大学か社会人へ進んで体力をつけてからプロ入りすべきだという声が多く、その通りのコースを選んだ。

早大を出たあと日本ハムに入り、田中と同じ舞台に立つことになった。日本ハムは斎藤入団の前後にも東北高・ダルビッシュ有、大阪桐蔭・中田翔、花巻東・大谷翔平、早実・清宮幸太郎、金足農・吉田輝星ら、知名度の高い甲子園球児を数多く採っている。設備が整った高校で、好指導者に鍛えられた球児の存在は大きい。ただ、期待とかけ離れたプレーぶりだと、選手の肩身も狭くなる。

プロでの直接対決3度、いずれも田中将が勝利

甲子園で戦ったあと二人が同じプロの舞台に立ったのは、今のところ11年からの3シーズンだけ。田中は11、13年に最多勝、最優秀防御率、12年に最多奪三振のタイトルを取るなど、押しも押されもしない球界のエースになっていた。13年には24連勝無敗という驚異的な記録も残した。一方の斎藤は田中の同期生で即戦力のドラフト1位を名乗るのも気が引ける低空飛行。

「投げ合った」というには気恥ずかしい戦績だが、直接対決は3度あった。結果は田中3勝、斎藤3敗。最も脂が乗っていた時期の田中との対戦では、打線の援護は期待できない。3戦とも日本ハムの得点は1だった。田中は相変わらず「マー君」と呼ばれて、ニコニコと笑っていたが、斎藤は爽やかなイメージを殊更に強調するような「ハンカチ」とも「王子」とも、とっくに決別していた。実力で勝負と意気込んだが、故障のせいで結果が伴わなかった。

日本ハム・斎藤は右肘故障からの復帰を目指し、春季キャンプでは軽めの力で多くの球数を投げ込んだ=共同

ハンカチが汗まみれになっている間に、ニューヨークの「マサヒロ」は先発ローテーションを守り、6年連続で2桁勝利。コロナ禍による特別日程の昨年だけは3勝にとどまったが、推定22億から24億円の年俸に見合った働きは十分に見せた。帰国して楽天と交わした契約も日本人選手最高の年俸9億円プラス出来高(いずれも推定)。これに対して斎藤の年俸は年々ジリ貧となり、今季は10年前の新人時代の1500万円(推定)を下回る1250万円(同)になった。

田中の楽天復帰のニュースを伝え聞いた斎藤は、「ケガを治し、同じステージに立つことを意識してやるだけ」と語った。年明けからずっと、キャッチボールのような投球で肩を強化している。監督の栗山英樹が「びっくりした」というほどの回復ぶりだが、安心はできない。まだ32歳。田中との年俸の差は埋め難いが、汗と泥にまみれたタオルを振りかざして頑張ってほしい。

(敬称略)

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン