/

4カ月ぶり復帰の有原、より長い登板で価値示すべし

スポーツライター 杉浦大介

「無事に投げられてすごくうれしい。身体は問題なくて、球のキレもよかったかなと思うんですけど、もう少しスピードが出てきたらもっとよいかな」

9月1日、地元テキサス州アーリントンでの復帰登板を終えて、レンジャーズの有原航平は思わず表情を崩した。この日、ロッキーズ打線を四回1死まで無安打無得点に抑え、最終的には3回1/3を1安打1失点。抜群の制球力で3奪三振も記録するなど、久々の登板としては内容は極めて上質だった。

「何も気にすることなく投げられた。手術させてもらって本当によかった」

実に5月8日以来の登板で結果を出し、会見での有原のそんな言葉には実感がこもって響いてきた。開幕直後の4月後半から右手にしびれを感じ、「手のひらから指が腫れぼったい感じがあった」。診断の結果、右肩の動脈瘤(りゅう)が発覚。手術を余儀なくされ、当初は完治までに12週間が必要とされた。レンジャーズのクリス・ヤングGMは「今季中に復帰できるかはわからない」と述べており、現実的に来季までマウンドに立てないことを覚悟したファンも多かっただろう。

しかし、予想以上の速さで今季中にメジャー復帰を果たしたことは、自身のキャリアを考えるうえでも大きいはずだ。もちろん再び登板することがゴールではない。昨オフに2年620万ドルの契約でレンジャーズ入りした有原は、メジャーでも通用する先発投手であることをこれから証明していかなければいけない。

今季開幕から4試合目までは2勝1敗、防御率2.21と好投を続けたが、その後の3試合はすべて5失点以上で早期降板。離脱時点で2勝3敗、防御率6.59と苦しんでいた。右手の状態が影響したのであれば前半戦の成績は参考にならないのかもしれないが、気になるのは、好調だった序盤戦も打線の2巡目以降との対戦では鋭い打球を飛ばされるシーンが目立ったことだ。

抜群の球威やキレを感じさせるタイプではなく、相手打線に慣れられると分が悪かったのか。数字を見ても、打線1巡目の被打率は.226、長打率は.468と上質だが、2巡目になると被打率.327、長打率.745と一気に跳ね上がっている。1日の復帰戦では前述通り、最初の10打者をパーフェクトに抑えたが、やはり2巡目に入ると2番打者にホームランを許した。実に約4カ月ぶりのマウンドではこれでも上出来だとしても、メジャーで先発投手としてやっていくためには、今後、イニングを重ねても通用することを示さなければいけない。

「(今後は80~90球を)投げたいですけど、状態次第だと思う。投げさせたいなって思ってもらえるようなピッチングをしていきたい」

ロッキーズ戦後にそう述べていた29歳の有原は、もちろん自身の課題を理解しているはずだ。実際に復帰戦では指の不安がなくなったためか、離脱前よりも投球には勢いがあるようにも見えた。万全の状態に戻り、相手が自身の球に慣れきた状況でも必要なアジャストメントを施せるかどうか。

今季終了まであと約1カ月。勝負の2年目を前に、自分を試す期間が手に入ったことには大きな意味がある。「少しでも来季につながるように、手応えを得られるように」と話す有原のリカバリーロードは、まだ始まったばかりだ。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン