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岐路に立つファウラー マスターズ出場も危うく

ゴルフジャーナリスト ジム・マッケイブ

かつてはカリスマ性のあったファウラーだが、このところ成績の下降線が続く=AP

新型コロナ禍の1年を、屋外で、しかも接触の少ないスポーツの特性もあって、おそらくプロスポーツとしては最小限のダメージで切り抜けた米男子ゴルフツアー。 昨年の秋は昨シーズンと今シーズンの試合が複雑に入り組み、中断期間の日程消化に追われたが、今年は例年通りのスケジュールが組まれている。

さっそく7日には、ハワイ州マウイ島のカパルア・プランテーションコースで、年初恒例のセントリー・チャンピオンズの幕が開く。もちろん、観客はわずか。例年なら見慣れた選手との交流機会もなく、チケットで指定されたエリアから出られないなど、厳しい制限が加えられるが、新型コロナウイルスの感染拡大後は厳しい入島措置がとられてきたハワイで大会が開催できるのも、コロナ禍で大会を積み重ねた経験があってこそか。

いずれにしても、こうした中でまた新たな1年が始まろうとしているが、通常の1年として位置づけるなら、リッキー・ファウラー(米国)の復調に注目が集まる。このまま下降線をたどるのか、壁を越えるのか。

童顔であり、全体の雰囲気も若々しいので、多くの人はまだ、彼を20代の若手だと捉えているかもしれないが、先月13日に32歳となった。米ツアーに本格参戦してから、もう12年目の中堅選手である。ただこのところ、一時のカリスマ性が失われつつある。デビューした頃、彼のように全身をオレンジ色の服で身を包んだ少年が彼を追いかけたが、このところ、そういう光景をあまり見かけなくなった。

それは彼に対する失望を反映していると捉えることもできる。将来のゴルフ界を背負って立つ選手になるのではと毎年のように言われてきたが、これまで米ツアーでの優勝はわずか5回。アジアや欧州での試合を含めても8勝だ。米ツアーで4000万㌦(約41億円)近い賞金を稼いできたとはいえ、期待度とはかけ離れている。

米ツアーで18勝のマキロイ。ファウラーは大きく水をあけられた=ロイター

振り返れば2009年にプロ転向し、翌10年にファウラーはロリー・マキロイ(英国)を投票で上回り、新人賞を獲得した。その時点で「人気が先行している」「過大評価だ」と、その選考をいぶかしむ向きがあったが、今となってはあの声は正しかった。マキロイは米ツアーで18勝を積み上げた。四大大会では4勝。欧州ツアーなど米ツアー以外でも8勝し、ファウラーに大きく水をあけている。しかもマキロイは、プロとして米ツアー186戦で18勝を挙げているのに対し、ファウラーは251戦で5勝なのである。

後輩たちにも抜かれた。14年に米ツアーでプロデビューを果たしたジャスティン・トーマス(米国)は、プロ156戦で13勝を記録している。17年には全米プロ選手権に勝ち、16~17年シーズンのプレーオフ(フェデックス・カップ)を制し、年間王者ともなっている。27歳のジョーダン・スピース(米国)も最近は低迷しているが、すでに11勝し、そのうち3勝がまだファウラーには縁がない四大大会のタイトルなのである。

もっと若い選手らにも、先を越されそうだ。コリン・モリカワ(米国)がプロデビューしたのは19年のことだが、彼は米ツアー27戦目で3勝目を挙げた。一方のファウラーは3勝目までに145試合を要している。ファウラーに憧れ、オクラホマ州立大に留学した後にプロデビューしたビクトル・ホブラン(ノルウェー)は先日、プロ30戦目で2勝目をマークした。

ファウラーは最終日、ホールアウト後も会場に残り、18番ホールで優勝した友人を出迎え、祝福することでも知られる。そのスポーツマンシップには、誰もが敬意を払うが、このところはいつも祝福する側。本音では、思うところがあるのではないか。

スイング改造に取り組み、コーチも代えたファウラーだが…=ロイター

もちろん彼も、復調のきっかけを探っている。19年の終わり、ファウラーはスイングコーチをかつてタイガー・ウッズ(米国)や現在世界ランキング1位のダスティン・ジョンソン(米国)らを指導したブッチ・ハーモン氏から、同26位のケビン・キズナー(米国)らを教えているジョン・ティレリー氏に代えた。大きな決断である。

昨年春のシーズン中断期間中も、集中的にスイング改造に取り組んだそうだ。それはどんな選手にとっても容易ではなく、その成果がまだ出ていないともいえるが、19年の春までは1桁だった世界ランクが56位まで落ちた。このままだとマスターズ・トーナメント出場が危うい。現時点で、今季のメジャー大会の出場資格があるのは、全英オープンだけである。

目指すべき道をどう見据え、新年を迎えたのか。ファウラーは今、キャリアの岐路に立っている。

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