ロシアとベラルーシ選手、北京パラ参加一転認めず IPC

【張家口(中国)=摂待卓】国際パラリンピック委員会(IPC)は3日、緊急理事会を開き、2日に「中立的」な立場で認めたロシアとベラルーシの選手、役員の北京パラリンピックへの参加を、一転して認めない決定を下した。両国が参加した場合、ほかの多くの国や選手から参加を拒否する考えを伝えられて大会開催が危ぶまれるため、方針転換に追い込まれた。
参加を認めた2日の理事会の決定後、IPCに参加拒否を表明する国や選手が増え、書状を送ってきた国すべてが決定の変更を求めたという。自国政府に大会からの引きあげを求められたパラリンピック委員会もあった。記者会見したIPCのパーソンズ会長は全体の数は明らかにしなかったが、「とても多かった」と語った。
IPCによれば、両国選手の入る選手村での雰囲気が悪化。直接的な衝突はないが、敵意をあらわにしたり大会から引きあげる意志を示したりする選手がおり、選手の安全が確保できない可能性があることも理由に挙げた。

ロシアは71人、ベラルーシは12人の選手がすでに北京入りしている。パーソンズ会長は「両国がこのまま残ると、多くの国が参加を取りやめ、大会が実行不可能になる」と説明。両国選手に対しては「申し訳ない。あなた方はあなたの政府の行動の犠牲者だ」と述べた。
除外の決定に対してロシア側は不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴する考えを示しており、裁定によっては敗訴する可能性もある。これについてパーソンズ会長は「両国は訴訟を起こすだろう。それでもこれが正しい決定だ」と強調した。
ウクライナに侵攻したロシアと、支援したベラルーシをスポーツ界から排除する動きは世界的に加速している。サッカーでは国際サッカー連盟(FIFA)と欧州サッカー連盟(UEFA)が、ロシア代表チームや同国のクラブが主催大会に参加することを禁止。現状ではロシアはW杯欧州予選プレーオフに出場できず、本大会への道も断たれている。国際オリンピック委員会(IOC)もロシアとベラルーシの選手、役員を国際大会から除外するよう各国の競技連盟に勧告。追随する競技団体が相次ぐ。
一方でテニスのツアー大会を統括する男子プロテニス選手協会(ATP)や女子テニス協会(WTA)は、国名や国旗の使用を認めないことを条件に、両国の選手個人のツアー大会への出場は認める対応を取っている。
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