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ラグビー日本、手応えつかむ惜敗 アイルランド戦

 アイルランド戦を終え、声援に応える日本フィフティーン=ダブリン(共同)

ラグビー日本代表は3日、ダブリンで行われたアイルランド代表とのテストマッチに31-39で敗れ、欧州6カ国対抗参加チームの本拠地での初勝利はならなかった。2019年ワールドカップ(W杯)で19-12で勝って以来の顔合わせで、対戦成績は日本の1勝10敗となった。

我慢比べだった2年前のワールドカップ(W杯)の時とは、全く別の対戦カードのようだった。取って取られて、また取って。強敵アイルランドの本拠地に乗り込んだラグビー日本代表は、スリリングな好勝負を繰り広げた。

前半36分、ラインアウトでアイルランドのボールを奪った。SH斎藤の速い球さばきから連続攻撃を開始。相手の反則の後、中央でボールを持ったSO田村は大きく左へ蹴る。約30メートルのキックパスがきれいに決まり、逆転のトライとなった。再逆転を許した後の後半3分には、大外の密集から田村が持ち出す。右足の外側に掛けて転がした楕円球はWTBフィフィタの胸にすっぽり収まり、もう一度試合をひっくり返した。

アイルランド戦の後半、トライを決めるフィフィタ(手前)=共同

FWがモールを押し込んだものがあれば、キックのカウンターから一気に仕留めたパターンもあり。日本の4トライは多彩な攻め手から生まれた。W杯以来のテストマッチだった1週間前は、試合勘の乏しさが響いて1トライしか取れなかった。その鬱憤を吹き飛ばすような猛攻だった。

しかし、奪われたトライの方も5本を数えた。後半11分にはFB松島が負傷交代。相手のマークを引き付けていたエースの離脱により、ボールを運べるスペースが減った。うかつな反則も相次ぐ。後半29分にペナルティーゴールで31-39とされると、最後までスコアは動かなかった。

日本が5トライを奪われたのはW杯の直前、19年9月の南アフリカ戦以来となる。タックル成功率はアイルランドの82%を上回る90%とそう悪くなかったが、ゴール前で重いFWを止めきれなかった。タックルの姿勢の高さを悔やむ選手がいたように、国際試合のブランクは1試合では解消しきれなかったようだ。ただ、準備期間の短さを考えると、全てを詰め切れなかったのも無理からぬところ。

W杯に続きホームでも負けるわけにはいかないという、アイルランドの意地もあった。日本を分析し爪を研いでいたことは、得点に至るまでのプレーに表れている。

アイルランド戦でタックルを受ける日本代表の松島(右)=ロイター

1本目と4本目のトライは、ラインアウトからモールを押すと見せかけ、後方から走り込むナンバー8ドリスに突進させた。ラックを作った後、SHギブソンパークがタッチライン側に持ち出すところまで同じ。日本の守備の弱点を突く、良く練られたプレーだった。5トライ目の際も、走り込む選手や動きに変化を加えて3度、同様のプレーを繰り返している。マン・オブ・ザ・マッチに輝いたバンダーフリアーは「勝てて本当にほっとしている」。社交辞令ではなく、本心からの言葉だろう。

この試合、日本はトラブルにも見舞われた。松島だけでなく、ウオーミングアップ中には先発のナンバー8姫野が負傷。急きょメンバーを入れ替えざるを得なかった。

悪条件が重なったにも関わらず、強敵に冷や汗をかかせた。「短い準備期間でここまでやれた。選手を誇りに思う」とジョセフヘッドコーチは胸を張る。リーチ主将も「長い間試合をしていなかったのに、今日のようなパフォーマンスを出せたのは素晴らしい成果」と話す。試合の中身も濃かった。多彩な攻撃、その土台となったスクラムやラインアウトの安定……。23歳のSH斎藤ら、新戦力の先発4人も持ち味を発揮。選手層を厚くすることにも成功した。

チームは秋の再集合までいったん解散となるが、頼もしいのは選手自身が危機感を抱いているところ。「ここで満足してはいけない。(こういう相手に)どう勝つかを常に考えないといけない」とリーチ主将。素早い球さばきに初トライと鮮烈な先発デビューを飾った斎藤も「自分のミスで流れを失った。あまりポジティブには捉えられない。これを次につなげないと意味がない」とストイックに語る。

 アイルランドに敗れ、肩を落とすリーチ(右端)ら日本フィフティーン=ダブリン(共同)

確かな手応えと、さらなる成長への渇望。長期の活動停止から目覚めた日本代表が再始動の遠征で手にしたものは、大きかった。(谷口誠)

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