/

百万石の大金星に沸いた金沢 ダート競馬の祭典JBC

11月3日、金沢競馬場と門別競馬場で第21回JBC競走が行われました。2001年に創設されたJBCは、北米で行われているブリーダーズカップを模範に、生産界が主導して行われるダート競馬の祭典として、各競馬場持ち回りで行われてきました。今年は金沢、門別の2場開催。筆者が訪れた金沢では、8年ぶり2度目の開催となりました。両競馬場ともコロナ禍で、事前に申請した人の中から抽選で選ばれた人が入場する方式となりました。金沢は21年3月に砂を川砂から山砂へ入れ替え、軽い馬場になったことで、高速決着が予想されていました。

最初のビッグレースは牝馬限定のJBCレディスクラシック。速い流れを中位の馬群で追走したテオレーマが直線で抜け出し、初のJpnⅠ制覇を飾りました。騎乗していた川田将雅騎手は、返し馬から具合の良さを感じることができて、自信を持って競馬をしたといい、「良い時の雰囲気で走ってくれていたので、これなら大丈夫だという思いで、直線もしっかりとしたこの馬らしい動きができたと思います」とレースを振り返りました。テオレーマ(Teorema)はスペイン語で定理。速いペースなら差し馬に展開が味方するという、〝展開の定理〟を味方にした鮮やかな勝ち方でした。

2戦目は1400メートルの短距離戦で行われたJBCスプリント。快速馬モズスーパーフレアが持ち味のハイペースの逃げに持ち込み、後続を翻弄しようとしますが、直線で同馬の内側をから抜け出したのは、中団で待機していたレッドルゼルでした。12頭立ての最外枠からのスタートで、常識的には馬場の内側は狙いにくいところですが、ここでも川田騎手の見事な手腕が光りました。川田騎手は45分間でビッグタイトルを連勝する活躍でした。川田騎手は04年、レッドルゼルを管理する安田隆行厩舎でデビュー。昨年末から、恩師の安田隆調教師とのコンビでダノンザキッド、ダノンスマッシュ、レッドルゼルをビッグタイトルに導きました。

地方所属馬初の快挙

第21回JBCのラストを飾ったのは、2100メートルのJBCクラシック。支持を集めていたテーオーケインズ、オメガパフュームの中央勢が出遅れ、スタートを決めた馬の中から中央のダノンファラオ、船橋のカジノフォンテン、ミューチャリーが先行してペースは落ち着きました。2周目の3コーナーでカジノフォンテンが積極的に先頭へ立ち、これを追ったミューチャリーが4コーナーを回ったところで先頭に躍り出ました。最後はオメガパフューム、チュウワウィザードの追撃を抑えたミューチャリーが先頭でゴールへ飛び込みました。

地方所属馬のJBCクラシック制覇は今回が初めて。前回の地方・中央交流重賞、白山大賞典から手綱を取っていた地元・金沢の吉原寛人騎手(38)が金星の立役者となりました。吉原騎手は共同インタビューの第一声で「信じられない。こんな日が来るんですね」とあふれる喜びを口にしました。ゴール後のガッツポーズについても「自然に出ました。テンパってしまって雑なガッツポーズになっちゃいましたね」と振り返っていました。

コロナ禍取材の難しさ

3つの大一番が終わった後、筆者は本稿を金沢競馬場の検量室横に設けられた臨時の記者室で書きました。取材棟と称したプレハブが複数設けられ、新型コロナウイルス禍に対応してそれぞれが距離を取って作業ができるよう工夫されていました。Wifi環境と電源を完備した記者室には、場内モニターと同じ映像が流れるテレビが2台、検量室前に設けられたインタビューエリアの映像が常時流れるテレビが1台設置されました。

レースが1つ終わるたびに、筆者はラジオNIKKEI公式サイト内の「競馬実況web」用の原稿を書きつつ、インタビューエリアの映像を見て騎手の到着を待ちます。騎手が姿を見せる度にコメントを書き取って送稿。これを3回繰り返しました。コメントを聞いて原稿に起こす、という作業に関する限り、室外へ出ることなく、全ての作業が1つの建物で完結しました。こんなに楽でいいのか、と思うほどだった半面、肉眼で馬が走る様子を見ることは不可能でした。コロナ禍前の19年に行われた浦和でのJBC開催時は3人態勢で取材に当たっていて、今回は人数を割くことなく同等の仕事ができるのは有り難い限りですが、やはり自分の目で馬を見て、自分の耳で直接、当事者の声を聞くという態勢に早く戻ることを期待しています。

余談ですが、筆者は初めて金沢に来ました。大阪で早朝のサンダーバードに乗り、金沢駅に到着して5分でファン向けのバスへ。プレスルームに入った後は、馬券を買い昼食を取るためにスタンドへ入る時間帯があっただけ。次にこの地に来る時は、全力で金沢の競馬と街を楽しみたいと思っています。

(ラジオNIKKEIアナウンサー 山本直)

各アナウンサーが出演、ラジオNIKKEIの競馬番組はこちらでチェック! http://www.radionikkei.jp/keibaradio2/

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン