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母校にプロの経験注入 東大野球部・井手監督(上)

東大出の2人目のプロ野球選手として中日で活躍、フロントでも手腕を発揮した井手峻(たかし)さん(76)が、母校の監督に就任して1年。東京六大学リーグで2017年秋から続く連敗は止められないままだが、手応えはあるようだ。最高峰の舞台の経験を強化にどう生かすのか。

――もろに新型コロナウイルスの影響を受けた。

「学校が閉鎖され、構内にあるグラウンドへの立ち入りができなくなった。千葉に場所を借りて、少人数で入れ代わり立ち代わり、体を動かした。やっとグラウンドに入れたのは8月にずれこんだ春のリーグ戦の直前。(今年で最後になる)4年生に『それでも参加するか』と聞くと『参加します』と。練習が始まっても、大声を出しちゃいけないので静かに。何もかも異例のシーズンだった」

東大出身で2人目のプロ野球選手として中日で活躍した就任1年目の井手監督

――秋季リーグの早大戦では早川隆久投手(楽天からドラフト1位指名)に対し、四回まで1-0とリードした。

「初回に1点取って、三、四回と進んだ。早川君も『こんなはずはない』って顔で放ってた。よし、次の1点を取ったらいける、と思ったら、五回に逆転されて。早川君に落ち着かれちゃった。焦らせたまま行ったら面白かったけれど、次の1点が近そうで遠い」

「各校とも150キロを投げる投手が2、3人いる。我々の時代とはレベルが違うが、それでも、その球を打たなくちゃいけない。やっぱり基本はセンター返しということで落合(博満氏、ロッテで三冠王3度)の話をした。『落合は三冠王を取るためにシーズン始めはセンター返しで打率を4割近くに上げといて、そこから本塁打を狙うんだ』と。打率が3割3分くらいに下がったら、またセンター返し。つまりそれが一番ヒットが出やすい。おまえたちは三冠王になる必要はないんだから、センター返しに徹しよう、とね」

――就任時、東大でもフライボール革命か、というほどアッパースイングが多くて驚いた、と。

「メジャーではゴロよりフライを打ち上げようという流れだが、それは打球が上がったらオーバーフェンスする打者がやること。フェンスの手前で落ちる打球しか打てない打者はまねしちゃいけない。理想はレベルスイングで、そのためには素振りの段階で意識してダウンスイングをしないといけない。そう教えたら『金づちでたたいてるみたいです』って」

「でも振り返ってみると、自分も神宮で何とか一本放り込みたい、という気持ちしかなかった。だから学生の夢も大事にしたい。そこが難しいところで」

――アマチュアの指導者資格を取った権藤博さんに指導してもらった。

「プロのコーチがどんな難しいことをいうのか、と学生も思っていたと思うが、権藤さんは『やられたら、やり返せ』と。勝負事は結局そこ。敢闘精神。私も同じことを言っているが、権藤さんに言われて、学生も本気で聞いたんじゃないかな」

(聞き手は篠山正幸)

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