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ランニングに挑戦 「頑張りすぎない」が上達の道

皇居周辺でランニングする人たち(2020年5月)

新年度が始まって1カ月が過ぎた。5月の大型連休も終わり、ようやく新生活に慣れてくる時期。このタイミングでランニングに挑戦したいと思う人もいるかもしれない。初心者はどういう手順を踏めば無理なく上達できるのか。2001年から多くの市民ランナーをサポートしてきたクラブチーム「e-Athletes」の鈴木彰ヘッドコーチに継続して楽しむポイントを聞いた。

ランナーと一言でいっても志向性は異なる。タイムを求める「シリアス」から多くのレースに出る「レースフリーク」、レジャーとして大会に出場する「ファンラン」、健康維持を目的とした「健康ジョギング」まで走る理由は多種多様。走力の向上とともに枝分かれしていくが、最近は新型コロナウイルス禍で「運動不足解消のために走り始める健康ジョギング層が多い」と鈴木氏は指摘する。

減量など「必要に迫られて」という人も一定数いるだろう。だが、いざ始めてみると「以前より長く走れるようになった」「ペースが上がった」と思いもよらぬ喜びを感じ、欲が出てくる。入り口はともかく、その積み重ねがランニングの世界へと誘っていく。

初心者にとって大切なのが「頑張りすぎない」ということ。少しずつ、長くゆっくりと。マラソンには「過酷」というイメージが先行するが、そもそも「つらい」「痛い」と感じるランニングは無理が生じている証拠。故障のリスクも高い。「それでは続かない。実は『無理をしない』という意味はものすごく深い」と鈴木氏。

そこで薦めるのが、課題をクリアして段階的にステップアップしていく「自動車教習所方式」だ。初期は15分のウオーキングから始めてみる。余裕があれば30分、1時間と時間をのばし、ウオーキングの中に1~2分のジョグを挟んでいく。そこからグラデーションのように徐々にジョグの割合を増やしていくイメージだ。

ジョグも「ハアハアいわない程度の強度でゆっくり」。次のレベルに進む合格の基準は息が上がらず、「ちょっと物足りないと感じるくらい」。腹八分がちょうどいい。

心拍数をあげて追い込まないと走力が向上しないと考える初心者がいるが、それはスピード練習を入れる段階に到達してからの話。その前提となるスタミナは「全力ではなく、弱い負荷を与え続けること」で鍛えられる。まずは走る習慣を定着させ、長時間体を動かすことに慣れるための基礎固めを行う。

ジョギングを開始し、少し速いペースで走る快調走やあえてゆっくり長時間走るLSD(ロング・スロー・ディスタンス)を取り入れるレベルになると本格的なマラソントレーニングに移っていく。ただ、ランナーによって上達の早さは異なるため、期日を決めず、クリアできるまで次のステップに進まないこと。これも継続するための要諦だ。

フルマラソンに申し込みを検討するタイミングとして鈴木氏は「無理なく2時間走れるようになること」を一つの目安に挙げる。5㌔、10㌔、ハーフマラソンに出場しながらレース経験を積むことが正攻法。出場が決まってから慌てて練習を始める人も少なくないが、「ランナーによってステップの踏み方や期間が違うので無理が生じることがある」。たとえ準備に5~6カ月かけるとしても注意が必要だ。

新型コロナの影響で全国各地で開かれていた市民マラソンを取り巻く環境は一変。大会の中止や延期が相次ぎ、ランナーには我慢の時間が続く。「長い階段の上ばかり見ていると足を踏み外す。足元を見て一歩ずつ。それが上達の方法でもある」と鈴木氏。大会が少ない今だからこそ、慌てずじっくり脚力を鍛えておきたい。

(渡辺岳史)

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