大成、鹿島元幹部に有罪 リニア談合 地裁判決
リニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)罪に問われた大成建設と鹿島の元幹部2人、法人としての両社の判決公判が1日、東京地裁であり、楡井英夫裁判長はいずれも有罪を言い渡した。
大成建設元常務執行役員、大川孝被告(70)と鹿島元専任部長、大沢一郎被告(63)が懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役2年)、法人としての大成建設と鹿島は罰金2億5000万円(同罰金3億円)。起訴内容を認めた法人としての大林組、清水建設は有罪が確定している。
判決理由で楡井裁判長は、発注に当たりJR東海が「見積価格を重視し、自社の恣意が入り込みづらい方法を採るなどした。コストダウンの追求で各社を競争させる意思を持っていた」と指摘。「JR東海が受注事業者を決めていたとの合理的な疑いは生じない」とし、JR東海の差配で受注できるのは実質的に1社だけに限られていたとする弁護側の主張を退けた。
その上で「国を代表するスーパーゼネコンが国家的プロジェクトで受注調整をしたことは、建設業界への国民の信頼を著しく損ない、社会に与えた影響も大きい。両社は組織的な罪証隠滅工作も行った」と述べた。
大成建設は「主張が認められなかったことは誠に遺憾だ。控訴を検討している」とコメント、鹿島は「判決内容の詳細を確認し、弁護人と対応を検討する」としている。
リニア中央新幹線の建設工事を巡っては、公正取引委員会も20年12月に独禁法違反を認定し、大林組、清水建設に計43億2170万円の課徴金納付と大成建設、鹿島を含む4社に再発防止に向けた排除措置を命じた。大成建設、鹿島は命令を不服とし、訴訟で争う構えだ。