日本医大病院に是正勧告 「無給医」問題で労基署
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日本医科大病院(東京)が、医師資格を持つ大学院生に診療をさせたのに賃金を支払わなかったとして、中央労働基準監督署(同)から是正を勧告されたことが26日分かった。大学院生側の代理人を務める弁護士が明らかにした。
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労働としての診療に報酬が支払われない「無給医」問題に関する労基署の是正勧告は異例という。
弁護士によると、労基署は20日、同病院が2019年10月~11月に外来診療をさせていた大学院生11人に賃金を支払っていなかったとして是正勧告。過去2年分の実態を調査し、労働に見合った報酬を支払うよう指導している。
学校法人日本医科大学は取材に対し、研究と労働の区分けについて「不十分な点があったと考える」としている。
弁護士は26日に東京都内で記者会見し「長年、常識とされてきた無給医について、法律上の是正を求めた画期的な判断だ」と評価。労基署に申告した本人の「当たり前の判断がなされてよかった。やりがい搾取を前提とした医療など間違っている」とのコメントを紹介した。
無給医を巡っては、文部科学省が19年6月、病院を持つ国公私立大に雇用・労務管理をきちんと行うよう通知。昨年2月には、59大学病院に2819人の無給医がいたとの調査結果を公表した。
昨年4月には、新型コロナウイルスの診療に当たる大学院生が増えているとして適切な処置を取るよう求める事務連絡を大学病院に出した。〔共同〕