帰省、控えめにスタート 年末年始、コロナ直撃

新型コロナウイルス禍に見舞われた2020年も年の瀬を迎え、例年であれば帰省などで交通機関が混雑するシーズンとなった。感染拡大が直撃して政府が「静かな年末年始」を訴える中、空の便で下りの予約率が最も高い26日でも、帰省客らはいつもの年より控えめ。観光需要喚起策「Go To トラベル」の全国一時停止も決まっており、予約状況は低調だ。
- 【関連記事】「帰省自粛」悩む大学生 友人少なく孤独な年越しも
羽田空港では、マスクの着用を呼び掛けるアナウンスが流れる中、保安検査場に列ができた。出発ロビーにある土産店の女性店員は「感染拡大以降、こんなに多い人出は見ていないが、例年の年末に比べれば格段に少ない」と話した。
夫や、5歳と2歳の子どもと沖縄県名護市に向かう茨城県つくば市の鎌田たかこさん(45)は実家や親族の了解を得て帰省を決めた。「今年は実家で静かに過ごす。夏休みは帰れなかったので子どもも楽しみにしている」と笑顔だった。
関西空港では国際線の出発口は閑散とする一方、国内線のロビーはスーツケースにマスク姿の利用者が行き交った。北海道滝川市に帰省する堺市の会社員、中居翼さん(22)は「今年から大阪で働き始め、慣れない土地で1人で過ごすのは不安だった。なるべく外出を控えるステイホームの正月になりそう」と話した。
JR東京駅。東海道新幹線では指定席、自由席共に空席が目立った。東京に単身赴任中で山口県の自宅へ帰る会社員の若林陽介さん(57)は「自主的にPCR検査を受け陰性だったが、家族と密になって食事するのは避ける」と気を引き締めた。
鉄道や空の便の予約状況は今夏のお盆より回復傾向にあるが、前年同期と比べ大きく減少した。航空各社が18日に発表した25日~1月3日の国内線の予約状況は前年比45%減。上りの予約率は1月3日が最も高かった。
JR各社の25日~1月5日の新幹線、在来線の指定席予約状況は9日時点で前年同期比61%減。その後、22日時点で東北新幹線では予約席数が約1万席、北陸新幹線では約2万席減るなどキャンセルが相次いだ。14日発表のGoToトラベル停止の影響とみられる。〔共同〕

関連企業・業界