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皇居で歌会始 両陛下、コロナ収束への願い詠む

(更新)
「歌会始の儀」に出席した天皇、皇后両陛下(26日、皇居・宮殿「松の間」)=代表撮影

新年恒例の宮中行事「歌会始の儀」が26日、皇居・宮殿で行われた。1月開催の予定が、新型コロナウイルスの影響で延期されていた。朗詠役が感染防止のためフェースシールドを着用するなど異例の様式をとるなか、天皇、皇后両陛下はともにコロナ収束への願いを歌に込められた。

儀式は宮殿「松の間」で午前10時半から催された。両陛下や皇族方が詠まれた歌のほか1万3657首から選ばれた10人の入選者、天皇陛下に招かれた召人(めしうど)らの歌が、独特な節回しで披露された。

コロナ下での開催となる今回、歌を披露する披講諸役(ひこうしょやく)の席にアクリル板を設置するなど感染防止策を徹底させた。松の間にはモニターが置かれ、上京しなかった福井県の入選者は地元からオンラインを通じてリモート参加した。

両陛下の歌は、いずれもコロナ禍が題材となった。感染拡大以降、両陛下は幅広い分野の専門家を住まいの赤坂御所(東京・港)に招き、コロナの影響について理解を深められてきた。天皇陛下は困難に直面する人や対応に当たる人の願いや努力が実を結び、コロナが収束していくことを願う気持ちを込められた。

皇后さまは2020年の緊急事態宣言発令中、赤坂御用地で梅の実を見たときの心情を詠まれた。コロナにより世の中が大きく変わるなかで、例年通り実を育む梅から自然の力を感じられたという。

両陛下で歌の内容が重なったが、側近は「ともにコロナ問題が一番の関心事だったのだろう」と話している。

入選者は両陛下に拝謁後、宮内庁で記者会見に臨んだ。新潟市の高校2年、藤井大豊さん(17)は授業中に詠んだ歌が入選し「来年の授業の励みになる」と喜んだ。

東京都練馬区の大学4年、吉田直子さん(24)はオンライン活用など異例の歌会始に「伝統ある行事が時代にあわせて続いてきているんだなと実感した」と話した。

宮内庁は2022年の歌会始のお題を「窓」とし、募集要領を発表した。応募する歌は未発表の自作とし、1人1首。歌に「窓」の文字が詠み込まれていればよく、「窓辺」「車窓」のような熟語でもよい。

半紙を横長に使い、右半分にお題と短歌、左半分に郵便番号、住所、電話番号、氏名(本名、ふりがな)、生年月日、性別、職業を毛筆で縦書きする。海外からの応募は用紙、筆記具とも自由(用紙サイズは縦24㌢、横33㌢)。

病気や障害で自筆できない場合は代筆やパソコンによる印字でもよく、別紙に理由と代筆者の住所、氏名を添える。点字も受け付ける。9月30日の消印まで有効。宛先は「〒100-8111 宮内庁」。封筒に「詠進歌」と書く。

天皇、皇后両陛下、皇族方、召人、選者、入選者の歌は次の通り。
天皇陛下
人々の願ひと努力が実を結び平らけき世の到るを祈る
皇后さま
感染の収まりゆくをひた願ひ出で立つ園に梅の実あをし
秋篠宮さま
夏の日に咲き広ごれる稲の花実りの秋へと明るみてくる
秋篠宮妃紀子さま
竹籠に熟るる黄色の花梨(くわりん)の実あまき香りは身に沁みとほる
秋篠宮家長女眞子さま
烏瓜その実は冴ゆる朱の色に染まりてゆけり深まる秋に
秋篠宮家次女佳子さま
鈴懸の木から落ちにし実を割りてふはふは綿毛を空へと飛ばす
常陸宮妃華子さま
野鳥くる実のなる木々に植ゑかへて君は若かる庭師と語る
三笠宮家寛仁親王妃信子さま
実りある日のくるためにながさるる汗は力となるを信ずる
三笠宮家彬子さま
地図帳にあの日見つけし茶畑の不思議な点は茶の実のかたち
高円宮妃久子さま
戸隠の森にはびこる蔓柾(つるまさき)赤き実を食(は)むは眉茶鶫(まみちやじない)か
高円宮家長女承子さま
自室より画面越しにて繋がりて旅せぬ集ひも実現したる
▽召人(敬称略)
加賀乙彦
千年を生きむ樟(くす)の木が実在し巡りて子らは駈けつこをする
▽選者(敬称略)
篠弘
野に棲めば己がからだは実(み)たされて銀杏黄葉(いちやうもみぢ)を両手に掬(すく)ふ
三枝昂之
軒下の甲州百目(ひやくめ)まろやかにこのあめつちの実り明るむ
永田和宏
若き日の実験ノートに残されて芙蓉のごとき歌の断片(きれはし)
今野寿美
写実派が鳥の巣ゑがきその底のたまごふたつの聖なる斑(まだら)
内藤明
いましばし眠りて待たむ茂り合ふ生命の樹に実の色づくを
▽入選者(敬称略)
秋田県 柴田勇
大学の実験室は旧兵舎窓辺に寄りて目盛を読みぬ
福井県 杉崎康代
見合ひ終へあなたの母から門前でゆすらの紅実(あかみ)てのひらにうく
三重県 加藤京子
此処よりは世界遺産と言ふ森の土やはらかし橅(ぶな)の実落ちて
埼玉県 渡辺照夫
台風の進路予測を聴きながらまだ少し若い梨の実も穫る
神奈川県 松山紀子
実践に臨む瞳のあどけなさロボットはわが言葉聴きをり
東京都 石井豊彦
今日からは臨床実習の冬の朝少し足早に聖橋渡る
広島県 山本美和
シールドの向かうの客に釣り渡す架空のやうな現実にゐる
東京都 吉田直子
空白に史実のピース集めても想ひつかめぬ歴史のパズル
長野県 木下玲奈
せんせいと子らから呼ばれ振り返り実習生は先生となる
新潟県 藤井大豊
七限の書道の授業は「実」の文字最後の払ひに力を込める

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