がん検診、受診者数3割減 対がん協会「未発見に警戒」

日本対がん協会は24日、2020年に実施した胃、肺など5つのがんの集団検診で受診者数が前年より3割減少したと発表した。新型コロナウイルスの感染を恐れて先送りした影響とみられる。同協会は「1千~2千人のがんが見つかっていない可能性がある」として受診を呼びかけている。
同協会は2~3月に全国42支部に集団検診の状況を調査、32支部から回答を得た。同協会が集団検診を実施していない東京、神奈川、大阪などは含まれない。
同協会によると、胃、肺、大腸、乳房、子宮頸(けい)部の集団検診の受診者は20年の1年間で394万人。前年の567万人から173万人(30%)減った。
緊急事態宣言が出た昨年4~5月の受診者は前年同月の1割程度まで落ち込んだ。解除後に次第に回復したものの、通年では大幅減となった。
同協会は過去のがん発見率から推計し、5つのがん検診の受診者減少で「計2100人のがんが未発見になっている可能性がある」と指摘。同協会の集団検診を受けず個別検診が増えたとしても1千人は未発見になっているとみている。
例年5つのがんの8割は他疾患の治療など検診以外で見つかっている。感染を恐れた通院控えの影響で、がんが見つかっていない患者はさらに多い可能性があるという。
発見が遅れるとがんが進行して生存率が下がる。同協会は「検診での感染対策は強化している。先送りした人は早めに受診してほしい」と訴えている。